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49 三人の話はまだまだ続く

「でもなんで、学校違うのにバンド組んだんすか? 兄貴繋がりだとは思うんだけど……修斗さん達と学年だって違うのに、何の接点?」  学校が違う四人。どうやって知り合い、バンドを組むことになったのか? ファンとしては色々と聞いておきたい。康介はグイグイと質問を続ける。 「俺と周で入学してすぐにバンドやりたくて軽音部作ろうとしててさ、部員集めしてたんだよ。問題児だった周の監視役みたいなので保健医の高坂が面倒見てくれててさ。でも結局誰も集まんなくて部活に出来なくて……不貞腐れてたら陽介さんが圭さん紹介してくれたってわけ」  周と修斗の風貌で部員集め。上手くいかないのは容易に想像できる。まあ修斗だけならあたりもいいし気さくだから人は集まりそうだけど、周がいたんじゃやっぱりダメだったんだろうなと康介はそう思いながら黙って聞いた。 「そうそう、ちょうどメンバー探してた時に陽介がいっこ下にギター上手くて目立つ二人がいるけど会ってみねえ? って連れて来たんだよな」  懐かしそうにそう話す靖史に康介もウンウンと頷いた。康介は憧れの二人と話せて大満足。そろそろ眠くなってきたしどうしたらいいんだろうとちょっとそわそわしていると、靖史がコソッとまた話し出す。 「ところでさ、竜太君 大丈夫かな? その、なんつうの? 身の危険? みたいな。まだ付き合って浅いだろ? せいぜいキスどまりってところじゃない?」 「軽く酔っ払ってたよな、竜太君。ふらふらしてたよ」  康介は靖史が何を心配しているのか理解して顔が赤くなってしまった。 「あ、知ってる? あっちの二部屋、部屋に露天風呂付いてんだぜ。ズルくない?」 「え! マジっすか! なんかズルい。気づかなかった。……てか、部屋に露天風呂、益々エロっ……」 「圭と陽介はもういいとして、周の奴絶対竜太君襲うよな? 竜太君てそういう経験ないんだろ? 女も男も……大丈夫かな」  康介は恥ずかしかったけど、兄の陽介が言っていたことを思い出し、意を決し説明し始める。その点はきっと大丈夫なんだ…… 「あの……多分それ大丈夫かと思う。いや、逆に周さんが俺心配……」 「へ? なんで?」  竜太の性格から、陽介の言っていた事はきっと嘘じゃない。康介は竜太らしいと思いながら話を続けた。 「いや、竜って興味ないことには全くなんですけど……逆に興味が沸いたらとことん突き詰めるような所があって……なんかその、兄貴に色々聞いてたみたいなんですよ……その、なんつうの? お、男同士でのやり方……みたいな?」  旅行の前日、康介に用があって電話をよこした竜太。たまたま留守にしていたせいで陽介がその電話をとったらしい。そこで色々聞かれたようだ。内容を聞いて開いた口が塞がらなかったと康介は笑う。 「マジか……?」 「兄貴も自分と竜とは多分立場が逆? だから、詳しくはネットででも調べてみろって言ったみたい。あの兄貴も相当ビビったって言ってたくらいだから、きっと根掘り葉掘り聞いたんだろうなぁって」  竜太があられもないことを陽介に質問ぜめしている様子が頭に浮かぶ。 「あはは、こりゃ周の方が心配かもな」 「竜ってなんの躊躇いもなくもの言ったりするからたまに驚かされるんですよね……」 「ま、温かい目で見守ってやるか 」  そう言って三人で笑い、寝る前にもう一回風呂にでも行くかと支度を始める。そして温泉を楽しんでからまた三人でお喋りを楽しんだ。

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