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55 計画

「大丈夫? 今日どうする? やめとくか?」  いつの間にか部屋に来ていた康介が、すごく心配そうに僕に聞いた。でも、何が何でも今日中に行かないと、周さんがスタジオに行っている間に行くんだって前から決めてたんだから。 「いや、行く!……でもごめん、まだしんどいかも。もうちょっとしたら起きられると思うから。絶対行くからね。康介、ごめんね。もう少しだけ待ってて……」  あまりに僕が必死だったのがわかったのか、康介は呆れたようにふふっと笑い、薬と水を持って来てくれた。 「一応薬、飲んどくか?」 「うん、ありがと」  僕は薬を飲んでまたベッドに潜り込む。そのままうとうとしてきて、また少し眠ってしまった。  あれ? ────  康介に軽く頭をぽんぽんとされて目が覚める。今は何時だ? と慌てて僕は顔を上げた。 「あんまり気持ち良さそうに寝てるから起こしたくなかったんだけど、買い物行く時間なくなっちゃうとマズイだろ?」  時計を見るとまだお昼まで時間がある。昼食はみんなで落ち合って食べようと決まっていたからそれまでには済ませないといけない。 「起こしてくれてありがとう康介、もう大丈夫!」  僕は支度をして、康介と一緒にホテルを出た── 「ごめんね、康介。付き合わせちゃって……」  康介はきっとスタジオ行きたかったんだろうな。 「ん? 大丈夫。午後も少し練習するみたいだから、そん時また見学行くし」 「ほんと、好きだよね康介」  昨日もずっとスタジオ内で見学していた康介。今日もまたずっと黙って見ているのかな? 「だってかっこいいだろ? いや、元々みんなかっこいいんだけどさ、演奏してる時の顔がまた雰囲気が変わるっつうの? なんだろう……空気が変わる感じがぞくっとするんだよな。やっぱかっけえよ」  康介の言いたい事はよくわかる。周さんも普段と演奏してる時と雰囲気が違う。どちらも僕にとってはかっこいい周さんに変わりないんだけど。 「竜は、周さんがいりゃなんでもいいんだろ?」  僕の考えなんかお見通しな康介がそう言って笑った。

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