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56 康介の想うこと

 竜が酒を飲んで二日酔い。少ししか飲んでないのに笑っちゃう。  みんなはスタジオに行くと言って、案の定周さんは竜太に付き添うって騒いでて……圭さんに引っ張られながらやっぱり俺のことを睨んで出て行った。  やれやれだ……  きっと俺が竜の幼馴染だという事が気に食わねえんだろうな。竜は周さんのことが大好きなんだから、心配することなんかないのにな。  竜はこの旅行が決まってから、周さんとお揃いで 何か記念になる物を買いたいと言って近くのお店を色々と調べていた。周さんに内緒で買って、後でプレゼントするんだって張り切っていた。びっくりするほど可愛い奴。  周さんに内緒で買うなら今日のこの時間帯しかないって昨日話してたのに……二日酔いでダウンだなんて竜太にとっては笑えない大失態。絶対行くから! と焦ってる様子だったけど、あれしか飲んでないんだ、ちょっと休めば大丈夫だろう。  薬を飲ませるとすぐに寝息をたて眠ってしまった。眠っていると更にあどけなさが増して、なんだか子どもみたいに見える。  窓から入る心地よい風が竜のサラサラな髪の毛を揺らした。思わず竜の頬に触れていて、俺は自分のしてることに驚き慌てて手を引っ込めた。 「昨夜あんな話をしてたからだ……」  一人呟き、両手で自分の頬をパンっと叩いた。  ベッドの横に腰を下ろし、ぼんやりと竜の寝顔を眺める。すうすうと小さな寝息を立てて寝ている竜を見ながら不思議と幸せな気持ちになった。  やっぱり俺は自分で気がつかないうちに失恋していたのかもな。そう思って小さく笑った。  あ……  そろそろ起こしてやんないと時間がなくなる。俺は竜の頭を軽く叩く。目を覚ました竜はすっかり回復した様子で支度をして、急いで俺たちはホテルを出た。

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