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58 内緒の買い物

 僕らはカフェを出て本来の目的の店へ急いだ。  カフェから然程遠くないところにその雑貨屋があり、僕らは中へ入る。買うものはだいたい決めてあるんだ。だからそれを探すだけ……  僕は店内をゆっくり歩く。康介もふらふらと歩きながら色んな商品を物色していた。  あ、これ……  天然石を使ったキーホルダーやストラップが幾つもあった。その中の深いブルーの綺麗な石とシルバーのクロスのパーツを使ったキーホルダー。  以前、周さんが修斗さんの鞄のキーホルダーを見て「女みたいにこんなジャラジャラつけて邪魔じゃねえの?」なんて言っていたのを思い出しちょっと躊躇いもあったけど、ギターケースにでも付けてもらえれば……と、なるべく小さめのキーホルダーを選んだ。どうしてもお揃いで何かを持ちたかったんだ。このくらいなら周さん嫌がらないで付けてくれるよね。そして僕も同じ石を使ったキーホルダーに決めた。  喜んでくれるかな。お揃いだなんてわかったら困った顔されちゃうかな? 周さんに渡すところを想像して僕は一人でにやけてしまった。  会計を済ませて康介の方へ行くと、康介も何か買うらしくレジに向かっていたので、僕はとりあえず先に出てると声をかけ店を出た。 「見つけたー! 」  店を出るなり先ほどの二人組に声を掛けられる。見つけた、なんて言ってるけどついて来ちゃったのかな……どうしよう。 「何ですか?」  一人が馴れ馴れしく僕の肩に手を置いてきたので、慌ててその手を払った。それでも「いいじゃん、遊ぼうよ」といきなり腕を掴まれ、引っ張られてしまった。もう一人は「その荷物も持ってあげるね」と、先ほど買った周さんへのプレゼントを僕から奪って歩き出す。 「あ! それ返して!」  腕を掴まれ離してくれない。おまけに周さんへのプレゼントまで取られてしまったから、取り返すまで僕はこの二人について行くしかない。 「離して! やだ! 僕そっち行かない! それ返して!」  必死に腕を振りほどこうとしてもビクともせず、腕が痛くなってくる。みるみる店から離れていき、僕はもうどこを歩いているのかさえわからなくなっていた。  あっという間に人気のない路地に入り、使われてない店舗の倉庫みたいな所に到着する。 「大人しくしててね……」  そう言って振り返りニヤつく彼らの表情に、僕は怖くて足が竦んでしまった。

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