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61 ごめんなさい

 陽介さんと康介に連れられホテルの部屋へ戻る。そしてすぐに周さんが帰ってきた。 「竜太、もう二日酔いは大丈夫か?」  周さんは朝と変わらない様子で僕に体調の事を聞いてきた。にこにこした表情を見て、先ほどの事は周さんの耳に入っていないんだとわかる。  ちゃんと言わないと……と思う反面、また同じような失態で周さんに心配をかけたくない、がっかりさせたくない、と言う感情も湧いてしまった。何よりまたこんな事があって周さんに嫌われてしまうのではないかとそれが怖かったから、打ち明けるのを躊躇ってしまった。 「う……うん、大丈夫です。もう練習は終わったんですか?」 「なんだよ、お前元気ないな。どうした?」  周さんにじっと見られ、返事に困る。 「…………」  モヒカンのお兄さんは僕のことを圭さんに連絡した。圭さんは事情を知っていたはずなのに敢えて周さんに言わなかったんだ。 僕に気を遣ってくれたのだろうか…… 「圭ちゃん、周に話してないのか?」  圭さんが部屋に入ってくるなり陽介さんが圭さんにそう聞いた。いつもの優しい声のトーンではなく、怒っているのがわかる。どうしよう……きっと僕が自分で言った方が良かったんだ。 「あ? 陽介さん、さっき慌ててスタジオ出てったけど……もしかして何かあったんすか?」  周さんが不思議そうに僕と陽介さんの顔を交互に見た。陽介さんは僕の方を見て溜息を吐き、さっきまでの事を周さんに話し始めた。  みるみる周さんの表情が強張るのがわかる。あっという間に真っ赤になって康介に掴みかかった。 「ごめんっ! 周さん!……俺がついてたのに、ごめんなさい!」  康介は叫ぶように周さんに謝るけど、周さんは「ふざけんな」と言いながら康介の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶり今にも殴りかかりそうな勢いで怒り始めた。  違う! 違う!……康介は悪くない!  ガシっと陽介さんが康介から周さんを引き離す。僕はどうしたらいいのかわからず、ひたすら周さんの背中にしがみついて押さえることしかできなかった。 「周っ! 怒鳴るな! 康介に当たるな! 竜太君も康介も悪くない!……辛い思いをしたのは誰なのか少しは考えろ!」 「周さん、ごめんなさい。僕はなんともないから……何もされてないから! 大丈夫だったから!」  周さんは息を荒くして黙っている。 「……好きな奴に一人で辛い思いを抱えられるのは辛いんだよ。圭ちゃんだってわかるだろ? 知られたくない、悲しませたくないって隠す方が俺はだめだと思う。だってどんなに隠してたって……様子がおかしいのはわかっちまうから」  陽介さんが圭さんにそう言いながら、僕の頭を優しく撫でた。隠したかっただろうけど、隠される方も辛いんだよ、と言って「ごめんな」と僕に謝ってくれた。 「幸い竜太君は無事だったんだ。よかったなって、抱きしめてやるくらいしてやれよ」  周さんは自分を落ち着かせるように深呼吸をひとつしてから、僕を抱きしめてくれた。 「……怒鳴って悪かった。康介もごめん」  周さんは小さな声でそう言った。

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