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66 だってイラつくんだもん

 昨日の晩は散々だった。  竜太が陽介さんに恥ずかしいことを聞いていたのが発覚して俺が謝る羽目になったり、酔っ払った竜太に攻められ呆気なくいかされたり……気持ちよかったからいいんだけど、それでもやっぱり納得いかねえ。  今日は今日で二日酔いの竜太を置いてスタジオ練習に行かなきゃならないし、康介が竜太に付き添うのも気に入らなかったのに、更に俺に内緒で二人でデートだなんて! まあ、これは俺へのプレゼントを買うという可愛い目的だったからいいとして、知らない奴らに竜太が襲われそうになるなんてさ、これはどう考えてもいただけない。やっぱり俺のイライラはおさまる事がなかった。  練習が終わって夕飯まで時間あるから散策しようと言って竜太と歩いたけど、康介と一緒に行った店の話なんかされたら益々イラつく。店の中は女ばっかだし、みんな竜太の事見てるし、竜太は食うことに夢中で全然そんな事にも気がつかねえ。自覚が無いのが少々心配。  ぽやんとしてるのは可愛いけど、少しは自覚してほしい。  ホテルに戻って夕飯後またみんなと賑やかに過ごした。  竜太はさすがに今日はお茶を飲んでいるけど、俺はイライラしていたせいでちょっと飲みすぎてしまった。なんとなく酔っている自覚があった。  いつものように竜太を股の間に座らせ、俺は後ろから竜太を抱く感じで座ってる。竜太の体がピッタリと俺の体におさまる感じが心地いいんだ。  それなのに、座椅子って? はあ?  カチンときて思わず竜太の胸を触ると、意表を突いて竜太が可愛い声をあげるもんだから驚いてしまった。  やべっ……可愛い! そう思ったのも束の間「やめてくださいっ」と真っ赤な顔をして俺を睨む竜太を見て、なんだか意地悪してみたくなってしまった。  みんなが竜太の声が可愛いとか盛り上がっちゃったけど、すぐに話題がそれてこちらに興味が向かなくなった。  俺はわざと竜太の首筋に顔を近づけ話してみたり、耳に息を吹きかけたりして反応を見る。竜太の首筋が段々と赤くなってきて色っぽかった。おまけに息も荒くなる。明らかに俺のせいで感じてしまってるのがわかってムラムラした。  竜太の内腿を撫でると、閉じてる足にぎゅっと力が入る。それで抵抗してるつもりなのかな? もっと触ったらどうなるんだろうと、もう一度撫でようとしたら「部屋で休んでます」と言ってフラフラしながら部屋から出て行ってしまった。  もうちょっと意地悪したかったな……  出て行く竜太を目で追っていると圭さんと目が合った。 「周! 竜太君あんまりいじめるなよ」  溜息混じりの圭さんに、俺は肩を竦めて「すみません」と謝った。 「俺も部屋、戻りますね」  そして俺は竜太のいる部屋に急いで向かった。

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