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休み時間
休み時間になると早速転入生の周りに人が集まる。
「あの転校生、目立つよな。見た? あのイケメンっぷり! デカイし足も長えし…… モデルだって言ってたけど、間違いなくありゃモテるだろうな……うん、不公平だ!ムカつく!」
康介は少し遠巻きに転入生を見ながら僕に愚痴った。それでも「お話ししてこよっと」なんて言いながらあちらの人集りに消えて行った。
僕は夏休みに借りていた本を図書室に返しに行かなきゃならなかったので、その後ろを通り過ぎる。
「あ!ねぇ君!……君ってば! 名前教えてよ」
突然その転校生に呼び止められてしまい、急いでいたので「渡瀬竜太」とだけ答えて、僕はそのまま図書室へ急いだ。
図書室に向かう途中で、ばったり修斗さんに会った。
「竜太くん!はあい、元気?」
僕は修斗さんの隣に周さんを探すが、修斗さんは一人のようで少しがっかりした。
「旅行の時はお世話になりました」
僕は修斗さんにお礼を言うと、お世話なんかしてねえし!真面目かよ!と笑われてしまった。周さんは学校ちゃんと来てるのかな……? 僕が周さんの事を聞こうと修斗さんに言いかけた途端「ん? 周?」と聞かれてしまう。
「周なら今日は来てないぞ。新学期早々サボりかね? だめだねぇ」
修斗さんはあまり感情なく「だめだねえ」なんて言っていて、本当にどうでもいい感じに見え、ちょっとおかしい。そして廊下で立ち話をしているうちに、またチャイムがなってしまった。
結局 図書室行けなかった……
急いで教室に戻ると、転入生にじっと見つめられなんとなく居心地が悪い。それにしてもこの転入生、名前はなんだったかな?すっかり忘れてしまって僕は後で康介に聞いておこうと思い、またぼんやりと窓の外を見つめた。
周さん、どうしちゃったんだろう?またサボり癖が出ちゃっったのかな?
久し振りに会いたかったな。後でメールでも送ってみよう。
お昼になり、僕は康介に屋上に誘われる。
今日はお天気もいいし、僕も屋上に行くつもりだったのでいつものように二人で教室を出た。
今日は周さんはいないから、康介と二人きり。修斗さんだけでも来ないかな?なんて考えていたら、誰かに肩を叩かれた。
振り返ると、笑顔の転校生。
「ねぇ、竜太君、僕と一緒に学食行かない?」
今、ここで康介と一緒にお昼を過ごしているのがわからないのかな? なんで僕だけ誘うのだろう。
「あー、僕お弁当だし……ここで康介と食べてるから、ごめんね」
なんとなく「一緒に……」とは言いにくい雰囲気。
誰もいないわけではないけど、屋上は人が少ない。そんな場所で周さんとよく過ごしているから、なんとなく他の人に知られたくなかったんだ。
僕は意地悪だったかな。断ったものの自分の言い方が冷たかったかもしれないと心配になった。
「今度は初めから志音も誘って一緒に屋上で食おうか」
ああ、志音っていうのか。やっと名前がわかった。康介は基本、誰とでもすぐに打ち解け友達もすぐにできる。そんな康介の社交的なところは見習わなくちゃな……と思った。
「お昼は、ここに周さん来ることがあるから、僕はいい……」
見習いたいけど、でもこれはまた別……
そっか、と小さく康介が返事をして、それからは他愛ない話をしながら僕らはお昼を屋上で過ごした。
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