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吐露
放心状態でマンションのロビーに出ると、そこに圭さんと修斗さんが立っていた。なんでいるの? というよりも、やっぱり……といった感じだ。きっと圭さんが修斗さんに連絡をしたんだ。心配をかけてしまっている自覚はあった。
「竜太君、ちょっといいかな? 」
修斗さんの言葉に僕は黙って頷いた。そのまま二人と一緒に近くの喫茶店に入った。
「周に連絡すると修羅場になりそうだったから言わなかった。でも、竜太君からちゃんと話をしないと周もどうしていいかわからないと思うよ?」
圭さんは少しだけ怖い顔をして、諭すように静かにそう言う。
わかってる……
わかってるけど、僕は周さんに何て言ったらいいのかわからないんだよ。
怖いんだ……
「竜太君? 康介君がね、凄い心配してる。俺はてっきり周と喧嘩でもしたんかと思ってたけど、周は心当たりがないみたいだし……周も困惑してたぞ」
修斗さんも心配そうに僕を見ている。
「……ごめんなさい」
僕は謝ることしかできなかった。
圭さんと修斗さんはお互いを見ながら溜息を吐く。
「竜太君、何があったか言えないの? さっきの志音君が原因なんでしょ?」
圭さんにここまで言われて、黙っているわけにもいかず、モヤモヤとしてぐっちゃになっている心の中を吐き出したいのもあり、僕は意を決して話を始めた。
でも、こうなったのは志音のせいじゃない。僕は志音の事は話さずに、今の気持ちを吐き出した。
「── 信じらんないな。周に彼女? ありえないよ」
僕が話し終えるや否や修斗さんが全否定する。
「竜太君、見間違いとかじゃないの? 俺も周に彼女なんて信じられない……」
圭さんも同じ意見だった。
「あとさ、志音君? 彼、竜太君の事が好きでしょ。竜太君は気づいてなかったの?」
そのことに関しては僕は返事が出来ない。志音のことは今回の件とは関係のないこと。僕と周さんのことだから。
黙っていると圭さんは話を続けた。
「……竜太君は誰が好きなの? わからなくなっちゃったのかな?」
優しく子供に言い聞かせるように圭さんが言う。その言葉に思わず涙が落ちてしまった。胸のつかえが取れたかのように、ブワッと感情が溢れてしまった。
「僕は男だけど……周さんが好きなんだ。大好き……ずっと変わらない。でも、でも! 周さんが他の人と付き合ってるなら……他の人が好きなら、僕は諦めなきゃいけないの?ねえ、僕じゃダメなの? 男だから? ……嫌だよ……そんなの嫌だ!」
馬鹿みたいに泣きじゃくる僕の頭を修斗さんが優しくぽんぽんしてくれる。みっともないけど涙は止められなかった。
「いやさ、実際俺もしばらく周と会ってないんだよね。学校も来ねえんだもん。……そうだ竜太君、今から周んち行ってみる?」
周さんの家?
……ちゃんと周さんと話をしなきゃダメだ。
そうだよね、このままじゃいけないよね。
それにこれ以上みんなに心配かけてもいけないし。
僕は涙を拭って、頷いた。
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