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周さんと彼女?
僕は高坂先生に手を引かれながらやっと周さんの教室まで辿り着けた。
廊下に周さんと修斗さんの姿を見つける。周さんがすぐに僕に気付いてくれた。周さんは僕の方へ近づいて来るけど、みるみる怖い顔になっていく……
「なんで! どいつもこいつも! 竜太に手を出すんじゃねえよ!」
なんで周さんこんなに怒っているんだろう? と思っていたら、高坂先生と僕の手をビシッと叩いた。周さんは先生と僕が手を繋いだままだったから怒ってたんだ。違和感なかったから手を繋いだままなの忘れてた。
「なんだよ橘、濡れ衣だ。渡瀬くん狼の群れの中の子鹿状態だったから僕が助けてあげたんだよ? お礼を言ってもらいたいくらいだ」
高坂先生はそう言って周さんの肩を叩いた。
ちょっと? 子鹿って……僕のこと? どんな例えだよ。
それを聞いた周さんは「悪りいな」とひとこと言うと僕を引き寄せた。
「で? どうした竜太」
僕の顔を覗き込む。
「お昼一緒にいたくて来ちゃいました」
でもあんまり時間がないからと伝えると、ちょうど隣のクラスが焼きそばやってるからそこで食べようという事になり、僕らは先生たちと別れ焼きそばを食べに行った。
テーブルに案内され焼きそばを注文すると、ニヤニヤした店員が周さんに小声で声をかける。
「なんだよ周、彼女?」
この人チラッと僕のこと見たけど、彼女って僕のことを言ってるのかな? 目が悪いのかな? 男です! と言おうとしたら「そうだよ」と周さんに言われてしまった。
「そうだよ、可愛いだろ!俺の彼女」
「いや、あの……僕、男です 」
慌てて僕が喋ると、その人は驚いた顔して僕を見た。
「なんだよ周! 男じゃんか。からかうなよ。びっくりしたなぁ。ま、でもめっちゃ可愛いのは確かだどな」
店員はげらげらと笑いながらテーブルから離れて行った。
…全くこの人ってば。
お昼を終えると周さんは僕を教室まで送ってくれた。またその道中、周さんのファンから写真や握手攻撃にあい少し時間がかかってしまった。そして、ライブには遅れちゃうけど必ず見に行きますと伝え、僕は周さんと別れた。
さああともう一踏ん張りだ!
僕この後の楽しみを思い午後の接客を頑張った。
喫茶店もお客が少なくなり暇になって来たので、仕事を終える許可をもらった。急いで僕は制服に着替え、康介と共に体育館に向かった。
間に合ってよかった!
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