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スライドショーとビンゴ大会
修斗さんから事情を聞いて少し安心する。周さんが怪我をしたらしいけど……まぁ周さんなら大丈夫だろう。
ふと照明が暗くなり、実行委員がステージに上がった。
「この二日間、お疲れ様でした! 大盛況のうち終わることができてよかったです── 」
手短に挨拶が終わり、カーテンが引かれすぐにスライドショーが始まった。
「写真部のみなさんが文化祭準備の段階から今日までの様子をたくさん写真に収めてます。楽しんで見てください」
ゆっくりと楽しげなBGMとともに、様々な写真が目の前にあらわれる。
看板の準備をしてる美術部員。
美術室。あ! 竜が絵を描いてる。真剣な顔。可愛いなぁ……
廊下での作業風景。
あ! 俺だ。不意打ちの顔……やべー!変な顔!勘弁してくれ。
体育館の飾り付けをしてる生徒達と先生達。
色んなクラスの催し物。あ、圭さんと兄貴だ……いい雰囲気だなぁ。熟年カップルかよ!
後ろでは靖史さんが女の子と写真を撮っている。いつの間にこんなの撮ってたんだろうな。全然気がつかなかった。
あ、志音と俺だ。ホストの衣装着てカッコ良くなったつもりでいたけど、うわあダメだぁ。志音と並んじゃ俺は引き立て役だよ。何なの俺、ちんちくりんじゃん最悪。
竜と志音だ。竜は女装してるし普通に美男美女のカップルじゃね?
周りも騒ついている。
お客に似顔絵を描いてる竜。あ、笑顔で客と話してる……いい顔してるなあ。竜の奴、ちゃんと出来てるじゃん。よかった……
白衣の高坂先生と志音に挟まれ楽しそうに歩いてる竜。
周さんと修斗さんと並んで歩く竜。
クレープを両手で持って頬張ってる。やべ、女の子見たいじゃん可愛い!
「………… 」
「ねぇ、修斗さん、やたらいっぱい写ってますよね……竜の奴」
俺はスライドを楽しく見ていたけど、なんだか竜ばっかり写っているような気がして修斗さんにそう聞いた。
「……修斗さん?」
あれ?
修斗さん真剣な顔してどうしたんだろう?
あ、今度は高坂先生と手を繋いで歩いてる竜。うわぁ、この場に周さんいなくてよかった! こんなの見たらあの人絶対不機嫌になってるよ。てか、これまでの写真を見たら不機嫌通りこして暴れそうだ……
あ!ライブの写真だ。わぁ! かっこいい! この写真俺欲しい!
「ライブの写真、かっこいいっすね!」
隣の修斗さんを見ると、相変わらず黙りこくってスライドを見てる。
「……修斗さん? さっきからどうしたんすか?」
「マズイな……」
修斗さんが独り言のようにぽつりと呟いた。
「ん? ああ、マズイっすよね。この場に周さんいたら焼きもちで大変なことになってますよね絶対」
キョトンとした目で修斗さんが俺を見る。
「あ……あぁ、そうだな」
あれ? 俺なんか変なこと言ったかな? 修斗さんらしくなく、心ここに在らずな感じ。
修斗さんの様子がちょっとおかしく感じたけど、あまり気にせず俺は最後までスライドを楽しんだ。
スライドショーが終わると今度はビンゴ大会。今年は景品が豪華だって噂があったから、参加人数が多いらしい。
修斗さんは来れなかった周さんの分もちゃんとエントリーしている。もちろん俺も、竜の分もバッチリだ。
ビンゴが始まり、景品の紹介。最初に揃った人には、某遊園地のフリーパス付きペア宿泊券!体育館がどよめき、一気に盛り上がる。
先にビンゴになった人十人が、ステージに置いてある景品BOXの中から好きなものを選ぶらしい。中身は秘密。 修斗さんに聞いたら去年は男子校らしい下品な景品だったとか……
なんだろね、下品な景品って……
実行委員が次々と番号を読み上げる。読み上げられた番号が調子よく自分のカードに穴を開けていく。
……マジで?
速攻ビンゴになりそうで、興奮して俺はカードを修斗さんに見せた。
「修斗さん見て見て!」
リーチの俺のビンゴカードを修斗さんに見せる。
「嘘? もうリーチなの? 康介くん!すげえ」
俺は手を上げジャンプして、前にいる実行委員にリーチをアピールした。
「早速リーチの人がいるようです! 」
会場にアナウンスが入る。
「マジか? 俺……ビンゴ!」
会場が大ブーイングの中、俺は最速でフリーパス付きペア宿泊券を手に入れた。
そして、竜の分のビンゴカードでもビンゴ! 修斗さんも周さんも立て続けにビンゴになり、景品をゲットする。
「俺たちめちゃめちゃ運がいいですね!」
俺は修斗さんとハイタッチしてビンゴになったのを喜んだ。
さあ! 次は圭さんちで打ち上げだ!
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