111 / 432

お泊まり

みんなで盛り上がっている中、「そろそろ戻ります」と志音が自分の部屋に帰って行った。それをきっかけに打ち上げはお開きとなった。 周さんは帰るのが面倒臭いとゴネるもんだから、そのまま圭さんの家に泊めてもらうことになってしまった。そんなに遅くもないのに周さんたらちょっと図々しい。僕が圭さんにすみませんと謝ると、周はうちで飲むと必ずこうなるからもう慣れっこだと言って笑った。 修斗さんと靖史さん、康介を玄関先で見送ると、ご機嫌な周さんが僕を呼ぶ。 「竜太! 風呂風呂!」 なんで周さんが一番にお風呂に入ろうとしてるの? 全く、遠慮を知らないんだから。 「何言ってるんですか? 僕と周さんは圭さんと陽介さんのあとですよ!」 周さんの態度に少しカチンとしながら僕が怒ってると、圭さんが笑った。 「竜太君、今陽介と洗い物してるから、よかったら周と先に風呂入ってていいよ」 サラッとそう言われたけど、周さんと一緒に入れって事かな? いや……別に周さんと一緒に入ってもいんだけど、圭さんの家のお風呂ってのがちょっと恥ずかしい。 「竜太早くー!」 当たり前のように周さんに呼ばれオロオロと中を覗くと、怪我した手が濡れないように上に掲げながら湯船に浸かる周さんの姿が見えた。 そうだった……周さん、手を怪我してたんだよね。いつもの調子で元気だから忘れてた。 「手、こんなだから、竜太が洗って」 恥ずかしいけど、しょうがないよね。ちょっと躊躇っていたら、周さんが早く早くと煩いので、僕は意を決して腰にタオルを巻いて中に入った。 「竜太遅いから逆上せる!」 少し頬を膨らませながら湯船から周さんが出て、僕に背を向けイスに腰掛けた。早く洗ってと急かしてくるから僕は慌てて周さんの背後に立つ。 周さんの背中、広くてかっこいい。程よく筋肉もついてて僕とまるで違う体つき…… 「あの……どうやって洗えば?」 ボディソープをずいっと渡され、手で泡だてて洗ってと言われた。その通りに僕は手にボディーソープを取り、泡だててから周さんの体をそっと撫でた。 ……なんかドキドキしてくる。 周さんの首筋、肩、大きな背中…… 加減がよくわからず、何となく優しく肌を撫でた。たまに擽ったいのか、周さんの体がピクッと反応してその都度僕までドキッとしてしまう。 しばらく背中側を洗っていたけど、周さんが振り返り僕の方を向いて座り直した。 「竜太、ちゃんと洗って……」 向かい合った体勢が尚更恥ずかしく、僕は目のやり場に困ってしまう。 両手に泡立てたボディソープを周さんの首から胸元へ撫でつけながら、ゆっくりと泡を体に広げていく。時折周さんの吐息が僕の顔にそっと触れ、何とも言いようのない恍惚感に襲われた。 椅子に腰掛けている周さんの股間にはタオルが掛けられている。でもそのタオルを押し上げるようにして主張しているのがわかり思わず体を撫でる手を止めてしまった。 「竜太のせいでこんなになっちゃった……どうしてくれるの?」 「あっ……! 待って、周さんっ……」 周さんが僕の腰のタオルを剥ぎ取る。僕だってムラムラしちゃって恥ずかしいことになっていた。それなのに、意地悪な顔をして周さんは僕の勃起してしまったそれをぎゅっと握る。 やだ、恥ずかしすぎる …… 「これどうしよっか?」 悪戯っぽく笑い周さんは僕を見た。 「出してあげよか?」 そう言って周さんは僕の返事を待たずに咥えてくる。突然の快感に思わず声を上げてしまった。風呂場の中は思いのほか音が反響して自分の声にギョッとする。声を出さないように慌てて僕は口を噤んだ。 「はぁん……周さん、あっ……ダメだってば……あっ 」 いくら我慢したところで、僕は周さんにかかればそんなことできるわけもなく、なるべく息を吐き出さないように両手で口を押さえた。周さんは終始「可愛い、イっちゃえよ……ほら、竜太の精子、俺の口に出せって」とイヤらしく言ってくる。 「やだ……そんな激しくしないで……ください……あっん……」 僕は堪らず周さんの頭を掴んで、呆気なくイってしまった。周さんは自分で腰のタオルを取り、「竜太……俺のも」と僕の手を取り滾ったそこへ誘った。先ほどの余韻で腰が抜けそう……僕は周さんの前にぺたんと座り込み、目の前のそれをゆっくりと舐った。周さんも気持ちがよさそうに小さく吐息を吐く。僕の手で、口で、こうやって周さんも堪らないといった顔をしてくれるのがすごく嬉しい。 「周さん……気持ちい?」 顔を上げ、周さんに聞いてみる。赤い顔をして周さんは「挿れたい……」と呟いた。流石にここじゃそんなことは出来ないと、僅かに僕の理性が働く。だって圭さんの家だよここ。こんなことすらしちゃダメなのに……僕らはなんて事をしちゃってるんだろう。 「だめ……また今度、ね?」 僕は周さんにそう言って、もう一度大きな口を開けて頬張った。僕だってもっとエッチな事したいけど……今日は我慢。 僕が舌を這わせ、強めに舐る度にイヤらしくジュブジュブと水音が響く。周さんの吐息も段々と荒くなっていった。 「あ……竜太、イきそう……イく……」 周さんの腰が前に突き出る。しきりに僕の髪を撫で回しながら、小さく「イく…」と呟き続ける周さんに、僕も気持ちが昂ぶってくる。そして周さんは僕の頭をグッと掴み、喉奥まで押し込んできて僕の口の中で吐精した。 僕までなんだか膝がガクガクしてしまい、周さんの腰に抱きついてしまった。それと同時になんて事をしてしまったんだと罪悪感でいっぱいになった。周さんは周さんで、そんな僕の思いなんか関係なしにスッキリとした表情をしている。ここは圭さんの家のバスルームだし、これから圭さんと陽介さんだってここを使うんだ。あんまり遅くなると悪いから……と、周さんを急かすようにしてさっとシャワーを流し、周りを綺麗にしてから風呂を出た。 周さんは予め圭さんの家にお泊まりセットを置いてあるらしく、自分のスウェットに着替えてる。僕は何も用意がないので圭さんの部屋着を借りた。歯ブラシなんかもちゃんと新品が用意されていて、さすが圭さん! と感心した。 圭さんと陽介さんのいるリビングに戻ると、僕の赤い顔を見た圭さんが逆上せたんじゃないかと心配し、水を持って来てくれた。そんな僕らを陽介さんはニヤニヤと見て、「そうじゃないよな?」と意味深に笑った。

ともだちにシェアしよう!