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お布団の上の攻防戦

「だから!……ちょっ、周さんっ! ダメだって!」 奥の寝室には圭さんと陽介さんがいる。 そして僕らがいるこの部屋は、普段は使ってない部屋だといって圭さんがわざわざ客用の布団を敷いてくれた。 僕は今、周さんと戦っている。 ジリジリと迫る周さんから何とか身をかわすものの、それも時間の問題だとわかる。 「ほら、これも……竜太、うるさいって! もう観念しろ!」 周さんが僕のビンゴの景品を手にして迫ってくる。既にふわふわの手錠は僕の手首に装着されてしまっていた。 「嫌だって言ってるじゃないですか! これだって本当にこういう使い方するんですか? 周さんまたエッチな事しようとしてるでしょ!」 「だから! それ以外どう使うんだっつうの」 数分前── 部屋に入った途端、周さんがさっきの景品を見せてみろと言うので、「これ何に使うんでしょうね?」と言いながら僕は素直に差し出した。そしたらあっという間にそれは僕の手首に装着されていた。 意味がわからずポカンとして周さんを見ると、凄いニヤニヤして僕に言った。 「ほら、こうやって拘束されたらうまく抵抗できないだろ? 俺のやりたい放題だ」 へ……? 「こうやってエッチするときに使うんだよ。どう? 拘束されて興奮する?」 え……? 「…… 本当にそういう使い方するんですか??」 信じられなかった。驚いてそう聞くと、周さんが馬鹿にしたように「それ以外どう使うんだよ」 と言うので、考え込んでしまった。 なんでビンゴの景品がこんな品物? ふと顔を上げると周さんが僕にのしかかろうとしているので、慌てて体を避けた。 「ほら、これもつければ視界も遮られるからさ……」 周さんはアイマスクも持って僕に迫ってくる。手首を拘束し、おまけに視界まで奪おうと言うのか……そんなの嫌だ。 「遮られるから……じゃないでしょ! 嫌です! なんで僕がこんな事!」 そうして今に至ります── 「ほら、早くつけろって! 」 「ダメです! 絶対嫌です!」 別に周さんとエッチな事するのが嫌なんじゃないけど、ダメでしょ? ここは圭さんの家。すぐ近くで圭さんと陽介さんがいるのに。それに、こんなに綺麗なお日様の匂いまでする布団を汚すことはできない。 さっきのお風呂の事だって、凄い罪悪感があるのに…… なんで周さんはそういう事わからないんだよ。 ……そんな所も可愛いんだけど。 「絶対嫌です! ……あっ、やだ!……離して 、んっ……」 結局、力には敵わず周さんに押し倒され、手錠のついた腕を掴まれキスをされてしまった。 「ふぅ……ぅっ……んっ 」 あぁ、力が抜ける。周さんの舌が、僕の口の中を緩々と行き来する。キスだけなのに、こんなに気持ちがいい…… はっ!待って? ダメだって! 「周さん? ダメ! いやだってば! 離して!」 キスをされて思わずウットリしていたら、目元に違和感を感じた。うっかりアイマスクをつけられる寸前で我にかえる。 ジタバタ暴れる僕を周さんは押さえつけた。 凄い力……痛くはないけど僕なんかじゃビクともしない。 「いい加減、観念しろって!……な? ちょっとだけだから!」 とうとう視界が全て遮断されてしまった。 周さんに押し倒され、手錠とアイマスクをつけさせられた僕は諦めて観念する。手錠も何か鎖のようなもので足と繋がってしまっているからアイマスクまで手が届かない。外したくても外せなくて、悔しくてちょっと涙が出た。 その時ドンドンドンと激しいノックの後、圭さんが怒りながら部屋に入ってきた。 「煩い! 周! 丸聞こえだっつうの! 竜太君、嫌がってるだろ? いい加減にしろ!」 驚いた周さんが僕から退くのがわかった。ふと視界が晴れ、目の前に圭さんがいる。 「ほら見ろ! 竜太君泣いちゃってんじゃん、周のばかたれ!」 圭さんが自分の袖口で僕の涙を擦ってくれた。 「この馬鹿! 反省しろ!……竜太君、俺らのとこで寝るか?」 圭さんが優しくそう言ってくれたけど、さすがに圭さんと陽介さんの邪魔はできないからお断りした。 「……あ、大丈夫です。 ごめんなさい。うるさくしてしまって」 竜太君は悪くないと言って笑うと、圭さんは「じゃ、お休み」と言い寝室へ戻っていった。 扉が閉まり周さんを見ると、ちょこんと正座して僕を見てる。 その姿に思わず吹き出してしまった。 「久しぶりに圭さんに怒られた……」 しょんぼりと正座をしたままの周さんは「圭さんに怒られるの何気に堪えるんだよな」と項垂れる。 「こういうのはまた今度にしましょうね。とりあえず手錠は外してください 」 そう言って僕は周さんにキスをした。

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