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康介の落ち着けない休日 その1

文化祭も無事終わった。文化祭は良かったけど、周さんと竜は散々な目にあった。刃物で刺されるってどんだけだよ!ってビビったけど、竜を庇っての怪我だと聞いて、そうだったのかと周さんを見直した。 後夜祭の後は大好きなD-ASCHの面々と打ち上げまで出来ておまけに圭さんの手料理! 幸せ気分 この上ない! 俺だって圭さんの家にお泊まりしたかったけど、まぁこれはしょうがないよな…… お泊まりを諦めた俺は、靖史さんと修斗さんと圭さんのマンションを後にした。 「明日は振替休みだよね」 「そっか、お前ら明日休みか。いいなぁ……俺は普通に学校だよ」 俺らは文化祭の振替で明日は休み。でも靖史さんと圭さんはそもそも学校が違うから明日も登校だ。 「次の日休みじゃないから酒も大して飲めなかったよ」 そう言って靖史さんは笑った。 「康介君はさ、明日はなにやってんの?」 修斗さんに聞かれて少し考えた。何やってるって、特に予定もないしダラダラするだけだろ。考えるまでもない。 「……何も予定もないっす。どうせ暇してますよ。修斗さんは?」 学校休みで嬉しいけど、俺はこれといって予定もないから家でのんびりしてんだろうな。 「ん? 俺? 明日はデート 」 俺に聞かれた修斗さんはにっこり笑ってそう答えた。 「………… 」 靖史さんも可愛い彼女がいる。しかも巨乳ちゃんだと自慢された。その上修斗さんもデートだなんて……くっそ! リア充め!爆ぜろ…… ……ん? あれ? でもさ…… 「修斗さん、いつの間に彼女いたんすか?」 そう言えば修斗さんに彼女がいたなんて聞いたことなかったので驚いた。 「へ? そんなのいないよ」 俺の質問にさらっと修斗さんは言う。 「………… 」 彼女がいなくて、デート? あっ! 「わかった! そっか! 彼女じゃなくて彼氏か!」 俺の言葉にぶっと吹き出し、修斗さんは否定した。 「なんでそうなる? 彼女も彼氏もいないよ」 修斗さんはゲラゲラ笑いながら俺を見た。 「だってデートだって言うから……」 「別に付き合ってなくても、誘われれば嬉しいから俺はデートするよ。楽しいじゃん 」 俺に向かってイケメンがウィンクしてる。 あ……わかったそうか、この人、俗に言うプレイボーイってやつだ。俺とは無縁の人種だ。 うん納得。 ふん! どうせ俺はひとりだよ。 次の日、俺は昼前に目が覚め、のろのろと冷蔵庫から牛乳を出しゴクリと飲む。 わかっているけど今日は暇なんだ。それでも好きな漫画の新刊の発売日だと思い出して気分が上がった。 よし!今日は本屋へ行こう。 俺は急遽思い出した嬉しい予定に喜び、いそいそと身支度をして家を出た。 本屋に行って漫画買って、それから家に帰ればちょうど昼時だし……そうだ! こないだ兄貴が買って隠してた新発売のカップ麺をもらっちゃおう。それ食って漫画を読むんだ。 うん、これで暇が潰れる。 頭の中で本日のスケジュールを組みながら、俺は浮かれながら本屋へ向かった。 まずは買う前に、ちょっと立ち読みでも…… ちょっと立ち読み……のつもりが、俺は結局結構な時間夢中で立ち読んでしまっていた。 すると突然視界が手で遮られる。 「だーれだっ! 」 楽しそうな声が背後から聞こえる。誰だも何もこんなわかりやすい声はあの人しかいない。 「何やってんすか? 今日はデートじゃなかったんですか?」 振り返り、にこにこしている修斗さんに俺は言った。 「なんで俺だってわかったの?」 きょとんとした顔で俺を見てる。いや……普通にわかるでしょ、声で。 「今日ね、ドタキャンされちゃった」 修斗さんは可愛く口を尖らせて拗ねた顔をする。うん、可愛い。 「修斗さん、可愛いっすね」 思わず言うと、「でしょ? 今更気付いたの?」と おちゃらけて笑った。修斗さんらしい。こういうところ、楽しくて好きだ。いつも楽しそうでノリがいいから自然と元気になるし笑顔になる。 「急にさ、彼女に呼ばれてそっち行っちゃったのよ。それじゃあ、しょうがないよね」 へぇ、それでドタキャンされたのね……って、彼女に呼ばれて? 「修斗さん? 今日のデートのお相手って……」 「男だよ……ねえねえ、そんな事よりお腹すいたよ。何か食べに行こうよ」 「………… 」 そんな事って……そこ気になるところなんだけど。 修斗さんも周さんに負けないくらいマイペースだな。 でも俺も暇だし、まぁいっか。 こうして俺は急遽修斗さんとご飯を食べに行くことになった。

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