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気合いマックス 体育祭

二学期の大きなイベントの文化祭が終わり、次に待っているのは体育祭。この高校はクラスごとに色わけされる学年混合クラス対抗戦だ。 今年は一組は(あか)、二組は白、三組は黄、四組は青── 僕と康介は二組だから白組。周さんと修斗さんは一組で紅組。陽介さんは四組だと康介が言っていたから青組……見事にみんな分かれてしまって敵同士だ。 高校の、しかも男子校の体育祭なんてそんなに盛り上がらないと思っていたけど……僕の予想を遥かに上回るほどの気合の入りように驚いてしまう。体育祭開催まであと一週間に迫ってくると、周りの気合が怖いくらい。とくに二年生と三年生が凄かった。結構な人数がジャージで過ごし、休み時間の度に走り込んだり練習をしている。放課後だってグラウンドには人がいっぱい出ていて各々体を動かしていた。 「……なんか凄くね?? そんなに体育祭って燃えるもんなの?」 窓から校庭を見下ろし康介が呟く。僕もこの光景にちょっと不気味さを覚えていた。 「僕らも先輩達みたいに頑張って練習しなくちゃダメじゃない?」 「でもさ、たかだか体育祭だよ? 練習するほど? 超面倒くさいじゃん……」 康介が溜息を吐く。確かに康介の言う通りで、中学の時だってこんなに練習なんてしなかった。僕は運動ができるタイプじゃないので、出る種目は騎馬戦と借り物競争だけ。なので練習のしようがない…… それに比べて康介はなんでもできちゃうから、出る種目が多くて当日は忙しそうだ。100m走に綱引き、棒倒しと200mリレー。そして盛り上がり必至の学年混合の色別リレー。これだけでも多すぎるような気がするのに、運動神経抜群の康介には是非全種目に出て欲しいとクラスのみんなが詰め寄って大変だった。康介は「練習なんてする必要はねえ」とダルそうに欠伸をした。 昼休みに僕と康介は屋上に向かう。いつもの場所に座って康介とお昼を食べていると理解しがたい光景が目に飛び込んできた。 汗だくになってる周さんと修斗さん。もちろんジャージ姿。一番学校行事に無関係そうなこの人達がジャージを着てしかも汗までかいている。ジャージ姿だって初めて見た。 康介と二人で状況が飲み込めず固まっていると、周さんがこちらを見て大きな声で叫んだ。 「竜太! これから体育祭まで一緒に飯食えねーわ! ごめんな!」 えっと……これを言いにわざわざここまで来てくれたのかな? 「あ! そうだ! 康介! お前は体育祭、絶対頑張るんじゃねえぞ! むしろ休め! 」 周さんは康介に向かってそう叫ぶと、また修斗さんと二人でバタバタと去って行った。何が何だか……圧倒され、ふたりでぽかんとしてしまう。 「今の……何?」 「なあ、周さん、俺に頑張るなってさ。白組負けろって事? そりゃ俺は先輩達みたいなやる気はなかったけど、あんなん言われたらやるしかないでしょ!」 どうやら康介の負けず嫌いに火がついたらしい。明らかにぷりぷりと怒ってる。康介は練習なんか必要ないってさっき言っていたけど、教室に戻るなりジャージに着替えていたからきっと練習するんだろうね。 少しすると二年生と三年生の色別リレーの選手が来て、一年も含めてバトンパスなどの練習をするとの事。 康介は今日から放課後はリレーの練習か…… 僕も何か出来るかな? そう思って騎馬戦に出るメンバーと集まってみる。先輩達の気合の入れようを話し合い、僕らなりに作戦を立ててみた。そして僕らもとりあえず放課後に騎馬を作って練習してみよう、という事になった。気が乗らないけどしょうがない。

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