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周さんの馬鹿!

借り物競争が終わり僕は白組の応援席へ戻る。途中救護テントで修斗さんの姿を見かけて、怪我でもしたのかと心配になり思わず駆け寄ってしまった。 「修斗さん、どうしたんですか? 怪我ですか?」 聞くと修斗さんは首を振り、救護係なんだと教えてくれた。 「俺さっきもここにいたけど、竜太君、気付かなかった?」 さっき? ……あ、僕は夢中で白衣を持って行こうとしてたから高坂先生しか見てなかった。 「それにしても竜太君、どうしたの? 元気ないね」 不意に修斗さんがそんな事言うもんだから泣きそうになってしまった。周さんが気になってしまって元気なんか出るわけないんだ。 「あ……周さんが、変っていうか、よくわからなくて……」 なんて言ったらいいのかわからない。好きな人に無視をされる、関心を持ってもらえない、というのが凄く堪えるし悲しくなる。その理由だって僕にはわからないんだから。 「機嫌が悪いし、僕の事、もう目も合わせてくれない。なんか怒ってるみたいだし…… 」 怒っているのはきっとさっきの事だ。僕が康介の味方をして周さんを怒ったから。でもこれは周さんの方が悪い。そして周さんの様子が変なのはもっとずっと前から。僕は泣きたくなってくるのをグッと堪えた。 「ちょっと大丈夫? 泣きそう? 周ならしばらく出番ないからって校舎裏の方に行ったけど……」 修斗さんが慌てて僕にタオルを貸してくれる。 校舎裏……旧部室かも。 「僕、そこ行ってきます」 「えっ、ちょっと竜太君?」 修斗さんに止められそうになったけど気にせず、僕は周さんと話がしたくてそこへ急いだ。 旧部室……周さんがいなかったら他を探せばいい。どうせその辺でサボってるんだろうから。ちゃんと話したい。さっき怒ったことも説明をしてわかってもらいたい。そんな一心で僕は走った。 旧部室のドアは閉まってる。シンとして物音もしないから誰もいないのかもしれない。僕は恐る恐るドアをノックしてみたけど反応は無かった。 「周さん?」 ドア越しに小さな声で呼びかけてみると、しばらくしてゆっくりとドアが開いた。やっぱりいたんだ…… 僕は誰にも見られないうちにと、慌てて中に入る。でも怖い顔をした周さんに「何しにきたんだ」と言わんばかりに睨まれてしまった。そしてまた僕からフッと目をそらす…… なんで……? ドアを閉め、僕は周さんの方へ駆け寄った。 「周さん、僕のこと無視しないでください! なんで目をそらすの? ……やだよ。そういうの悲しい……」 周さんに縋ろうとする僕の腕を凄い力で周さんが掴んできた。 痛い……周さん、怖い顔。 「悪りぃ……イライラしてしょうがないんだよ。お前に色目を使う奴が多すぎて腹が立ってどうしょうもないんだ! 俺のことはしばらく放っておいてくれ! 」 声を荒らげ周さんは僕の腕をバッと離す。 なんだよそれ……全く意味がわからない。 「色目ってなんですか? そんなこと……」 「うるせえな! 竜太ももうちょっと自覚しろよ!」 僕の言葉を遮るように、周さんはキツく怒鳴る。自覚ってなんだよ……僕が悪いの? 僕が何をしたって言うんだよ…… 「……なんで? 周さん…… 」 視界がぼやけ涙が込み上げた瞬間、周さんに口を塞がれた。 凄い強引なキス。僕の気持ちなんておかまい無しに周さんの舌が僕の中に入ってくる。いつもの周さんじゃなかった。愛情も何も感じられない。寧ろ乱暴に、嫌悪のようなものを感じてしまった。 掴まれた両手首がコンクリの壁に当たって痛い……僕が逃げないように押さえつけている周さんの目は、やっぱり怒っているようで、もう涙を堪えることができなかった。 「んっ……んぁ! ……や…やだ 、い…痛い……離して!」 耳朶を噛まれ、そのまま無理矢理後ろを向かされる。近くにあった机に僕はうつ伏せに押さえつけられてしまった。 胸が押されて苦しい……周さん? 「……!!」 あっという間にズボンを下ろされ、周さんは後ろから僕のペニスを直に掴み乱暴に扱く。 「えっ?……あっ、やだっ!……やめて!」 そしてもう片方の手が僕の尻を弄り、指がその割れ目にグッと押し入ってきた瞬間ゾッとした。 「やだ! 周さん!なんで? 嫌だっ!」 僕の叫び声で周さんの動きが止まった。押さえつけられていた強い力が弱まり、僕から離れていく。 「……竜太、ごめん」 極々小さな声でそう聞こえた気がしたけど、僕は頭が混乱してわけがわからなかった。悲しい気持ちと恐怖、そして怒りが全身を泡立てるほど襲ってくる。震える手で僕は身なりを整えた。 「周さんの馬鹿!」 僕は周さんに向かって怒鳴り、旧部室を飛び出した。

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