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嵐の前の……
怒涛の体育祭が終わった──
僕は今、修斗さんと一緒に周さんの家にいる。
僕を後ろから抱えて座ってる周さんはすこぶる機嫌が悪かった。なぜかと言うと、修斗さんがさっきから怖いことばかり言ってくるから…… 僕だってはっきり言ってそんなの聞きたくもなかった。
「結局さ、俺らじゃなくて青組が優勝したでしょ。これからの一週間、竜太君に青組の連中がアピールしまくってくるから、それで判断して竜太君が誰にするか決めるんだよ。まあ中には変な奴もいるから気をつけないといけないよね」
修斗さんは明るく何でもない風にそう言うけどさ、これって大変なことだよね? 知らない先輩たちから一週間もの間いっぱい声かけられるってことでしょ? おまけに変な奴もいるってどう言うこと? 僕凄く嫌なんだけど…… そもそも青組ならもう誰を選ぶかは決まっているのに。
「でもよ、もう初めっから竜太は陽介さんを選ぶって決まってんだよ。他の奴がアピールしたって無駄なんだから、アピールなんかさせんなよ!」
ほんとそれね! 僕もそう思う…… 修斗さんは「だから!」と盛大に溜息を吐いた。
「ラッキーボーイが相手を選ぶための一週間なの。既に相手決まってたってそこは変わらないんだってば。金だって写真部の連中が纏めてて 一週間経たないと貰えないし……」
さっきから聞いてれば「ラッキーボーイ」って…… その言葉からもう腹が立ってくる。
「僕ちっともラッキーじゃないんだけど! いい迷惑です!」
「だね! 可笑しいね」
修斗さんは他人事みたいに笑ってるし、周さんは怒りが収まらないのか貧乏ゆすりが凄いし、僕はさっきからそんな周さんの膝の上でブルブルしちゃってるし、もうわけわかんない。
「周もそんなイライラすんなって。陽介さんは周にデートの権利、譲ってくれるんだろ? 一週間竜太君を守れれば問題ないんだからさ、デート資金楽しみにしてろって。大丈夫だよ」
「……竜太はお前と違って危なっかしいんだよ。大丈夫だとは思えねえんだよ」
周さんが怒りながら後ろからギューってしてくれるのがちょっと嬉しい。
「今年は参加者が多くて凄いんだよ。周知ってた? 俺聞いたら百人近くいるって教えてもらった」
こんなくだらないことに……末恐ろしい。
「お前みたいに自分で自分の身を守れれば問題ねえけど、竜太は心配なんだよ……嫌な目にも何度もあってるし」
そう周さんが修斗さんに言っているのを聞いて、あれ? と思った。
「え…もしかして」
「そう、去年のラッキーボーイは俺だったの」
修斗さんが笑顔でそう教えてくれた。
驚いた……
「だからわかるんだけど、とにかく凄いんだよ求愛行動が。モテモテだよ、これから一週間。もうね、大変!」
修斗さんは笑ってるけど、僕にはそれ、笑えないから。
「とにかくだ! これからの一週間は絶対一人になるなよ。なんなら一週間学校休め!なっ?」
周さんは後ろから僕の肩を揺さぶった。
流石に学校を休むわけにはいかないけど、ほんと一人にならないように気をつけようと心に誓った。
「あ! 俺、用事あるからもう行くね。竜太君、また学校で── 」
そう言うと、さっさと修斗さんは帰っていった。
「あ、周さん?」
気がつくと周さんの手が僕の服の中でもぞもぞしている。
「あ!……んっ 」
後ろから僕の乳首をいたずらするから変な声が出ちゃうじゃん。
「周さん?……あっ、ダメですって……んっ……み、雅さんが 」
周さんの手は大きくて温かい。大好きなその手で触れられるだけで僕は堪らなくなってしまう。そんなの周さんだってわかってるはずなのに…… 周さんは僕の体を弄るのをやめてくれない。更に僕の耳まで甘噛みしてくる。
「おふくろは仕事で朝まで帰って来ねえよ? 大丈夫……」
「やっ……耳、ダメ……あん」
後ろから僕のうなじやら耳やら、周さんは執拗に舐め回してくるからゾクゾクしてしょうがない。
だめだめだめ……気持ちいい。
「だって、俺 頑張ったよ? 竜太のために頑張ったんだよ? お礼にご奉仕してよねぇ……」
ご奉仕って。
なにそれ……でも確かに周さんは僕のために頑張ってくれてた。周りに当たり散らして荒れ放題だったけど。
「ん……あ、ちょっとまって……あっ、待ってってば…… 」
僕は周さんのキス攻撃をかわし、向きをかえて向かい合って座った。
「しょうがないなぁ……じゃぁご褒美。周さん? 僕にどうして欲しいですか? 言ってみて」
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