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周さん以外ダメなんです!

今日は魔の一週間の三日目── 昨日までの二日間で、僕は既に散々な目にあっていた。 知らない先輩から告白され、一日中誰かの視線を感じ、手紙の山で鞄の中はパンパン。保健室で寝てたら食べられそうになり、家に帰ったら知らない奴に襲われて…… でも、最後のは何とか自分で追い返せた。怖かったけど…ちょっと自信がついたかもしれない。 朝、康介と陽介さんに会った。 「おはよう!」 「おはようございます。昨日はありがとうございました」 僕は陽介さんに昨日家まで送ってもらった事にお礼を言った。 いつものようにしばらくお喋りしながら歩いていると、急に康介が黙り込む。 「どうした? 康介?」 陽介さんが不思議そうに康介を見る。僕の方をじっと見る康介に、僕もどうしたのか不思議に思った。 「……兄貴、竜のこれってさ」 康介がおもむろに僕の髪、襟足を手で払った。 「え? なに?」 僕の首筋を見つめ、陽介さんが怪訝な顔をして僕に聞いた。 「昨日家に帰ってから周と会ったの?」 「いいえ……」 なんだろう? 陽介さんちょっと怖い顔。 「じゃぁ、その首の痣は何?」 康介も心配そうに僕に聞く。痣? そんなとこぶつけてないし。身に覚えがない。 「……誰に付けられたんだよ? キスマーク」 キスマーク?? 「あ、あの……キスマークって何ですか?」 小さく溜息をついた陽介さんが教えてくれた。 「キスマークってのは、皮膚に口で吸い付いて、鬱血させて痣を付ける事。竜太君の首、そこにキスマーク付いてる。周じゃないなら……誰なんだよ? もしかしてなんかあったのか?」 髪で辛うじて隠れてはいるけど、角度によったら見えてしまう微妙な位置にキスマークが付いているらしい。 ハッとして僕は二人に昨日の出来事を説明した。 「……マジか?」 二人は自宅にまで押しかけてきたことに驚きを隠せない様子だった。それと僕がひとりでそいつを追い返せた事にも驚いていた。 「なんだよ……怖えな。竜太君、今日は圭ちゃんち泊まりな! 俺も一緒に行くから」 僕は陽介さん達に悪いと思って断るも、陽介さんが怖い顔してまた襲われても知らないぞ! なんて言うからお願いすることにした。 「えー! いいなぁ、俺も圭さんちお泊まりしたい!」 康介が陽介さんに文句を言ってる。ダメだと言われ口を尖らせ不貞腐れてる康介がちょっと可愛いかった。 その日の昼休み、周さん達とお昼を食べる。 周さんの隣にくっついて座り、お弁当を食べながら僕は圭さんの家に泊まる話をした。ちょっと不機嫌そうだったけど、周さんは夜バイトだったりするので会えないからしょうがないと納得してくれた。 「でも何で突然圭さんちにお泊まり考えたの? 学校が終わってからも知り合いの家に避難するほど酷いの?」 修斗さんに聞かれ、周さんも頷く。 僕は心配かけたくなくて、昨日家で襲われたことは話さなかった。でも、聞かれてしまった以上、話さないわけにもいかず渋々説明をした。 周さんは途端に怖い顔になる。 「どこのどいつだ! ふざけすぎだろ? 」 名前も知らない先輩だった。見た事すらない。二年なのか三年なのかもわからない。 「でも、よく一人で追い払えたな!」 周さんと修斗さんにも驚かれてしまった。 僕も必死だったんだ。頭にも来ていたし…… 「 ……だって、僕の体を好きに弄っていいのは周さんだけだもん。周さん以外いやらしく触っちゃだめなんです! そう思ったら腹が立って腹が立って、気付いたら追い払ってました」 修斗さんが飲んでいたジュースを吹き出しそうになり「竜太君、超のろけ!」と笑った。周さんはちょっと嬉しそう。 興奮して僕、変なこと口走っちゃった……

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