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陽介さんとデート

僕は今、陽介さんと近所のコーヒー店でお喋り中。今日は一日陽介さんとデートをする日。これからどこに行こうかと二人で相談している。 「とにかくお金はたくさんあるから何でも好きなこと出来るよ 」 陽介さんは凄く楽しそうだ。僕も陽介さんと遊びに出かけるなんて初めてだから、今からとても楽しみだった。 そういえば、僕は周さんと殆どデートらしい事をしたことがないな……と、 ふと周さんのことを考えてしまう。周さんは今日は何をしてるのかな? 「とりあえずさ、俺 見たい映画があるんだけど……いい?」 陽介さんに聞かれ僕は頷く。でも映画なんて、僕じゃなくて圭さんと行けばいいのに…… 「この映画、圭ちゃん好きじゃないんだよね。てか、俺と圭ちゃんって好きな映画のジャンルが合わなくてさ、あまり一緒に映画館に行く事がないんだよな。見たいのあってもだいたいレンタルで済ませちゃう」 僕の心の声が聞こえたかな? と思ってしまうほど、陽介さんは僕の疑問に答えてくれた。 ──周さんはどんな映画が好きなんだろう。 人混みの中、並んで歩く。ふと陽介さんは僕の肩に腕をかけ歩道側に誘導した。そして車道側を陽介さんが歩く。一連の流れがスムーズでまるでジェントルマンだ。周さんもそういう風にしてくれることがあるけど、何なんだろう……仮にも僕だって男なのに。エスコートしてくれるのは嬉しいけど、守らなければと思わせてしまうほど僕は頼りない存在なのかな? と内心複雑でもあった。 映画館に着くと、話題の映画なのかロビーは結構混んでいる。 陽介さんはカウンターでチケットを購入すると、僕のところに戻り一緒に飲み物買いに行こう と手を繋いだ。 ロビーの人混みをかき分け、フードコーナーの列に並ぶ。 実は僕、映画館に来たのは初めて。 一緒に出かける友達なんていなかったし、友達って言ったら康介くらいだった。でも康介とだって、出かけた事なんて殆どなかったから…… 正直こんな人混みも苦手だ。なんだか息苦しくなってくる。 列に並びながら、陽介さんは僕が他の人にぶつからないよう体を寄せてくれた。 康介と僕は幼稚園の頃からの幼馴染みで、もちろん康介と兄弟の陽介さんも僕が小さい頃から知っている。だからきっと僕がこういう人混みとかが苦手なこと、わかってくれてるんだろうな。 「陽介さん、ありがとう」 僕がそう言うと「ん?」と不思議そうな顔をした。 やっと順番が来た僕は少し迷ったけど、ジュースとチュロスを買って館内に入り席についた。

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