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改めて好きなんだ

重い荷物を二人で分担して持ち、やっと圭さんの家に到着する。そして食材を圭さんに預けたら、今度は飲み物を買いに酒屋へ向かう。 圭さんの家には既に周さんと康介がいて、荷物になるからと言って三人で一緒に出た。陽介さんは家に残って圭さんと焼肉の準備。きっとまた圭さんに任せてごろごろしてるんだろうな。 康介と周さんと三人で並んで歩く。 そういえば周さん、眼鏡なんかしてるの初めてみたかも。 「……周さん? 目、悪いんですか?」 「いや ダテだし……度は入ってないよ。オシャレでしてんの」 眼鏡姿もカッコいいな。「似合ってます」と僕が言うと、横で何故だか康介がニヤニヤした。 酒屋につくと、二人はこれでもかって言うくらい大量に購入する。先程の食材なんかとは比べ物にならないくらい重たそう。結局運びきれないと言うことで、配達してもらうことにした。 帰り道、康介は何処か寄るところがあるからと言って一人でどこかへ行ってしまった。ちょっとしどろもどろだったところを見ると、康介は僕らに気を遣って二人きりにさせてくれたのだろうな、と有り難く思った。 周さんと二人きり…… 僕は今日の出来事を簡単に周さんに話した。 陽介さんとお出かけも楽しかったけど、僕は未経験の事が多くて。だからそれらを経験する時は周さんと一緒がいいって思ったら、どうしようもなく周さんに会いたくなった ── そう伝えた。 「僕、あまり深く考えずに陽介さんとデートしてちゃってごめんなさい」 僕に気を遣ってくれた陽介さんや、嫌なのに送り出してくれた周さんに申し訳ない気持ちになった。それでも周さんは怒ることなく、優しく肩を抱いてくれた。 僕は周さんの肩に頭を寄せ、改めて周さんの事が大好きなんだと実感する。 「あんま構ってやんなくてゴメンな。これからはたくさんデートしような」 僕は嬉しくて嬉しくて、思わず周さんの腕にしがみつく。周さんは慌てて「ここ外! 恥ずいから離れろ! 」と言って僕をぐいぐい押してくる。 いつもは周さんの方が恥ずかしい事いっぱいするくせに…… さっきだって、肩を寄せてくれたじゃん。可笑しくて僕はわざと力を込めた。 「……ばっ! 竜太ほんと離れろって」 側から見たら、男同士で何をイチャついてんだって、きっとおかしな光景なんだろうけど今の僕は嬉しさと愛おしさで全く気にならなかった。

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