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惚れた弱み
周さんからの返信に大喜びしたあの日から、また更に数日が経った。
また音信不通……
やっぱり寂しい。
読書もせず、ただ周さんのことをぼんやりと考えながら僕は自分の席に座っていた。
余程ぼけっと気が抜けていたのか、目の前に志音がいることに突然気が付いてびっくりしてしまった。
「え? 志音、脅かさないでよびっくりしたなあ 」
僕が驚いてそう声を上げると、逆に志音の方が驚いて、「は? 」なんて声を上げる。
「さっきから目の前にいたのに! 何で気が付かないの? 竜太君ほんと大丈夫?!」
「ごめん……多分大丈夫」
笑いながらも志音は心配そうな顔をする。
「康介君もさ、心ここに在らずでぼんやりしてるし、竜太君もボサッとしてるし……二人ともなんなん? どうしたの? 竜太君、これ以上ぼんやりしてるとそのうち怪我するよ」
心配と呆れ顔……確かに志音の言う通り、そのうち怪我するかもしれないな。気をつけなきゃ……
「周さんが構ってくれないんだ。ずっと会ってないから寂しいんだ」
僕は堪らず志音にそうこぼすと「なにそれ! 可愛すぎかよ!」と笑われてしまった。
「竜太君は素直でいいね。そんなに寂しいなら会いにいけばいいじゃん」
「うん……でも会いに行ったら追い返されたし」
僕は思い切って会いに行き追い返されてしまったことも志音に話した。すると「なんだそれ!」と、志音が怒り出してしまったから慌てて僕は言葉を続けた。
「あ! でも違うの。周さん、何かやりたいことがあるみたいでね、それで僕と連絡取らないようにしてるみたい。そう修斗さんが教えてくれたんだ。心配いらないから、周さんの好きにやらせてあげてって」
「何それ! 周さんって面倒くさいよね」
志音がそう言って呆れた。面倒くさい……か。確かにそうかもしれないけど、僕にとってはそこがまた周さんの可愛いところなんだって思ってしまう。
こういうのが惚れた弱み……っていうのかな?
でもやっぱり寂しいのは嫌だな。
早く会いたい。
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