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ごめん……
修斗さん、まだ目を覚まさない。
高坂先生に言われハサミとおしぼりを持ってカーテンの中へ入ると、まるで眠ってるかのように修斗さんが横になってる。
さっきは気が付かなかったけど足首に拘束具が付いている。先生がそれを外すと色の白い修斗さんの両足首が赤くなっていた。
痛々しい……
「修斗くん、起きるかもしれないから顔拭いてやってよ」
先生にそう言われ、俺は修斗さんの顔を見る。いつもカッコよくセットされてる髪、いつもにこにこ笑ってるその頬に、白く乾いた汚いのがこびりついてる。
ダメだ……涙が出てくる。
「修斗さん……ごめん、ごめ……ん…俺のせいで……こんな事に…… 」
俺はできるだけ優しく、でもこの汚いのがちゃんと落ちるように修斗さんの顔を拭った。
「康介くんが止めに入ったから突っ込まれはしなかったみたいだよ……修斗くんは不本意だろうけど、一応体を調べさせてもらったから。うん、大丈夫。どこにも傷はなかった。まあ、キスマークはね、あちこち付けられたみたいだけど……これはまぁ数日で消えるな。きっと催淫剤とか媚薬の類を飲まされたみたいだから、それで意識飛んだんだね。修斗くんこう見えて体弱いから効きすぎたんじゃないのかな……」
高坂先生はそう言いながら、ベッドの横に落ちてる布をゴソゴソし始める。
「ところでさ、この小汚い布は何??」
あ……それは。
「視聴覚室準備室のカーテンです……」
俺がそう言うと、「まったくもう!」と言いながら先生はカーテンを畳みそれを抱える。
「僕はこのカーテン返してくるから、修斗くんみててね。目が覚めてもまだ帰っちゃダメだよ。僕戻るまで待っててよ! いいね?」
先生はバタバタとそう言って保健室から出て行ってしまった。
修斗さん、ごめん……
俺はベッドの横で椅子に座り、寝顔を眺める。
修斗さんの柔らかい髪に触れながら、俺は目覚めるのをただただ祈った。
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