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仲直り
「……んん、ん……頭痛え…… 」
眉間に皺を寄せ、硬く目をつぶったままの修斗さんが小さく呻く。
「……!!」
俺は嬉しさのあまり、その瞬間に修斗さんに覆いかぶさり抱きしめてしまった。
「んぁ? なんだ? は? 誰だ?……ちょっと苦しいって!」
あっ……
顔を上げると、かなりの至近距離で修斗さんと目が合った。
「なんだよ康介君か。なに? どうしたん?」
修斗さんは自分の今の状況がわかってないのか、きょとんとしている。
え……と。
なんて言ったらいいのか返事に困る。少し黙り込んでしまったら、修斗さんは自分の体を見て驚きの声を上げた。
「えーー! 何で? 俺裸じゃん! 服は? 」
修斗さんは横たわった体を起こしながら、タオルの中の自分の体を見た。
「………… 」
そこでやっと思い出したのか、修斗さんは体を抱え小さく震え始める。青ざめていく修斗さんを見ていられなくて思わずぎゅっと抱きしめてしまった。
「そうだ……俺……うわぁ、参ったな……」
「修斗さん、ごめん! 俺、俺のせいで油断したんだろ? ほんと、ごめ…… 」
謝っても謝りきれない。俺はどうしたらいいのかわからない。
「はぁ? 康介君が何で謝るんだよ。お前何も悪くねえよ?」
修斗さんは俺の言葉を遮るように強く言う。笑顔で俺に「謝るな」と言う修斗さんに胸がいっぱいになってしまって涙が止まらない。
……ダメだ。泣くなんて最悪だ。
「康介君? ……なんで康介君がそんなに震えて泣いてんだよ」
苦笑いの修斗さんが俺の顔を覗き込んでくる。
なんで? って、だって……
だって……!
「修斗さん全然起きねえから! 心配しちゃダメなのかよ! …お、俺……心配で…… 」
抱きしめたまま泣いてる俺の背中を修斗さんはトントンと優しく叩いた。
「……康介君、ありがとう。この間はいろいろゴメンな」
くそっ! なんだよ、俺が謝ろうと思ってたのに…… 俺が修斗さんに先に謝りたかったのに。
「修斗さん、俺なにか怒らすような事しちゃったみたいで……俺こそごめんなさい。ずっと謝りたかったんだ……それなのに、こんな事…… 」
「違うよ、俺が八つ当たりしてただけ。康介君はなんも悪くないから。俺のヤキモチ! だから気にすんな」
笑って修斗さんはそう言うけど、なんだよ、ヤキモチって。意味わかんねえじゃん。
「……てかさ、康介君、いつまで俺に抱きついてるの?」
「あっ、すみませんっ!」
修斗さんが目覚めて仲直りもできて、嬉しくてホッとして……色んな感情が爆発して意味わかんなくなってるの俺じゃん! 急に恥ずかしくなって俺は慌てて修斗さんから離れた。
「いや、俺は全然構わないんだけど……うん、むしろもっとギュっとしてて……」
慌てて離れたのに、修斗さんはそう言って俺に向かって手を広げる。
「また! 修斗さん俺のことからかって!」
えっ?
真顔の修斗さんに腕を掴まれ、グイッと抱き寄せられてしまった。
「康介君、ほんとありがとう……今回はマジでやばいって思ってた。助かったよ。ありがとな……」
……修斗さん、震えてる。
そっか……そうだよ。俺に笑顔を見せてくれてるけど、怖かったよな。首から胸、そこら中にキスマークなんて付けられて……襲われていた修斗さんの姿が頭に浮かぶ。
俺はまだ少し震えている修斗さんを抱きしめながら、修斗さんの背中に手を回し優しく摩った。
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