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心配性
元気そうだし、とりあえずもう帰れと高坂先生に言われ、俺と修斗さんは保健室を出た。
すっかり外も暗くなり、もう残ってる生徒もほとんどいないんじゃないかな?
……修斗さん、大丈夫かな?
「修斗さん、頭痛いって言ってたけど大丈夫ですか? フラつきません?」
正直、俺は心配でしょうがなかった。
「なんだよ、康介君心配性だな。大丈夫だよ。元気元気!」
いつもと変わらない、にこにことおちゃらける修斗さん。
「………… 」
廊下を二人で並んで歩く。どうしてもちらちらと修斗さんの顔を見てしまった。
「俺、教室に荷物置きっぱだから取りに行きたいんだけど、修斗さんも一緒に来て……」
修斗さんを一人にしたくなかった。
「ええ? 一年のとこまで俺も行くの? かったりぃよ。康介君一人で行っといで。俺、玄関で待ってるからさ……」
そう文句を言う修斗さんの手を握り、黙って引っ張って俺は歩く。嫌だと言われても俺だって嫌なんだ。強引だっていい……今日は俺のしたいようにする。
教室に入り、俺は自分の机に向かう。鞄を取りながら教室の入り口で佇む修斗さんの方を見た。
「教室まで来させちゃってすみません」
無言で俺の方に歩いてくる修斗さん。俺をジッと見つめたまま近づいてくる。
「どんだけ俺のこと心配なの?」
目の前まで来て、真っ直ぐな瞳で俺を見つめてそう言った。
なんだよ……
そんな目で見んなよ…
「……心配しちゃ悪いかよ」
修斗さんの見つめる瞳に耐え切れず、目をそらして俺はそう答えた。
「ふふ……ありがとね。康介君」
いつものフワッとした笑顔に戻った修斗さんにお礼を言われた。怒られると思ったけどよかった……
でもまた俺、この人にドキドキしちゃってる。胸が詰まった感じがして、俺は何も言えなかった。
「康介君? 帰ろ」
「……はい」
外はもうすっかり暗くなり、風も冷たくなってきた。寒いのか、修斗さんは背中を少しだけ丸めて歩いてる。俺は修斗さんの一歩後ろを歩きながらその背中を見つめていると、突然修斗さんが振り返った。
「あれ? 康介君ちこっちだっけ?」
違うよ……一人にするのが怖いから。
「ううん。俺、修斗さんの家まで送ります」
修斗さんは俺を見てぽかんとしてる。そりゃそうだよな……女じゃないんだからって思うよね。でもなんと言われようと俺は家まで送るんだ。
「……ありがと 」
意外にも修斗さんは怒ることなく笑顔で俺にそう言った。
その顔がめちゃくちゃ可愛く見えてしまって、俺はまた変なふうにドキドキしてしまった。
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