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初めての水族館で…

以前陽介さんと出かけた時に行こうとした水族館。初めての場所には周さんと一緒に行きたいと言って結局は行かなかった水族館。今日は周さんと一緒に来ることができた。 「周さん! 僕ね、水族館初めてなんです 」 僕は周さんの服の端を掴んだまま嬉しくて少しはしゃいでしまった。 入口で二人でチケットを買い、館内に入る。薄暗い空間にライトアップされた綺麗な水槽がずらっと並んでいる。思ったより混んではなく、人も疎らなおかげでゆっくりと自分たちのペースで見ることが出来そうだった。 入ってすぐのここは、水槽が並び小さな魚や深海魚、クラゲのコーナー。 「周さん見て見て! このお魚!ふふ……変な顔 」 「……うわぁ、この魚光ってる。凄い……初めて見た、綺麗…… 」 僕は夢中であちこち歩き回った。楽しくてしょうがない。周さんはそんな僕の後をついてきてくれる。時折振り返って、ちゃんと来てくれているか周さんの姿を確認する。振り返る度、周さんは笑ってくれるから僕は安心して更に前へ進んだ。 奥のクラゲのコーナーに差し掛かると周さんは僕を捕まえた。 「あんまり一人でチョロチョロすんな……」 後ろからギュッと抱きつかれてドキッとする。周りを見ると、ちょうど誰もいない……僕たち二人だけの空間。 僕の胸の前で組まれてる周さんの腕を掴み、振り返ってみると周さんと目が合った。 薄暗く幻想的な光を放つクラゲの前で、僕らはこっそりとキスをした。 お互い顔を見合って、照れ臭くなって笑ってしまう。 「ペンギンやイルカもいるみたいだよ。行こっか?」 周さんにそう言われ、また二人で歩き出した。 「 ………… 」 ペンギンの場所に行く途中にある水槽のトンネルで思わず僕は立ち止まる。水槽のトンネル……見上げても横を向いても無数の魚たちが群れをなして泳いでいる。圧巻で見上げたまま僕はそのまま見惚れてしまった。 「竜太、ほんとさっきから子どもみたいだな 。こんなに楽しそうにしてくれて一緒に来られてよかった。お前可愛すぎ……」 周さんはそう言って、またギュっと僕に抱きつくから少し恥ずかしくて動揺してしまった。だってさっきと違ってここには他にも客がいたから…… 「あ……周さん? そんなくっついたら……」 小声で周さんに離れるように訴えると「いや、いい」と更に強く抱きしめられた。 「よく考えたらさ、別に誰に見られたってなんて事なくね? 俺はしたいようにする」 そう言って、周さんは僕の肩を優しく抱いた。 いや、そうは言っても僕はちょっと恥ずかしい。でもそんな風に言ってくれて凄く嬉しかった。 その後は周さんに肩を抱かれたまま水族館を巡り、僕は初めての水族館を満喫した。

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