205 / 432

お返しに…

適当に部屋を選び、さっさと入室する。どぎまぎしているかと思いきや、竜太は興味津々で周りをキョロキョロしていて拍子抜け。 もう俺待てない…… 後ろから竜太に抱きつき、顎を持って俺の方へ向かせキスをした。 「……んっ、ちょっ……ちょっと待って、周さんっ 」 竜太が慌てて俺から離れようとした。 なんだよ! 俺、ずっと竜太を我慢してたのに。この日のために頑張って竜太から離れてバイトして……って、違う。そうじゃないよな…… 俺は今日は竜太をメロメロの甘々で可愛がってやるんだって思っていたのに…… いつの間にか自分の独りよがり、自己満足のようになっているのに気がついた。 ダメだダメだ、いきなり俺の方からがっついちゃったじゃねえか! 危ない危ない…… 俺は冷静を取り戻し、竜太から少し離れた。 「周さん、今日はほんとにありがとうございました。 すっごいすっごい嬉しい事してくれたのに……周さんに沢山お金も使わせちゃって、僕、どうお返ししたらいいのかわからなくって」 竜太は改まって、俺の手を取りお礼を言う。お返しなんて考えなくていいのに、言っていることが竜太らしくて笑ってしまう。 「なんだよ。お返しなんていいんだよ。俺がそうしたかっただけなんだから。気にすんな」 俺がそう言うと、なんか赤い顔してもじもじし始める竜太。今頃恥ずかしくなったのかな? 「……とりあえず、お風呂入れましょう。僕お湯張ってきますね」 そう言いながら、竜太はいそいそと風呂場へ行った。ジャージャーと水の流れる音がしてすぐに竜太が俺のところへ戻ってくる。相変わらず赤い顔をしたまま、おもむろに俺の首に腕を回し、少し背伸びして竜太は俺の唇に啄むようなキスをした。 竜太の不意打ち! 竜太からこういうことを仕掛けてくるのはあまりない。 「竜太……?」 「今日のお礼に、僕が周さんをいっぱいいっぱい愛してあげる」 やべぇ…… 今日は俺が竜太に尽くしてやるつもりだったのに、時折見せる竜太のこういう表情に魅了される。無自覚に俺を煽る竜太にドキドキさせられる。でも自分からこんな事をするのは恥ずかしいんだろうな。 顔が真っ赤…… 恥じらいながら俺に尽くそうとしてくれている様子がいじらしくて堪らなく可愛い。 竜太は俺の首に腕をかけたまま、軽くチュッチュッと口づけをする。そしてゆっくりと、いやらしく俺の服を脱がせていった。 チラチラと上目遣いで俺を見ながら、指先で俺の乳首を弄ぶ。そんな所は擽ったさしかないけど一生懸命な竜太の水をさすわけにもいかず黙って行為を受け入れた。 下着一枚で立つ俺を舐るように見つめながら、竜太は俺の手を引きソファへ座らせる。俺の足に片足をかけ、半分押し倒す感じに俺に覆いかぶさる竜太に戸惑いを隠せない。普段の竜太からは想像もつかない色っぽい表情。俺はされるがまま押し倒され抵抗ができなかった。 狭いソファの上で竜太に抱きつかれ、首筋から胸にキスをされる。竜太の舌が俺の体を愛おしそうに舐っていく。焦れったくて下半身がムズムズしてくる。たったこれだけ……ちょこっと体を弄られているだけなのに、息が上がって堪らなくなってくる。そんな矢先に竜太は俺の口をキスで塞いだ。いつもは俺から舌を絡めるのに、今日は竜太が俺の舌を搦めとる。頬に手を添え頭を捕まえられ少し強引に竜太は俺にキスをした。 「……んふっ……んっ……んん 」 唇が離れ、思わず声が出てしまった。恥ずかしい……一気に顔が熱くなる。息を整える間も与えてもらえずに、また俺は竜太のキスに翻弄される。肝心なところにはまだ一度も触れてないのに、もう竜太に挿れてしまいたくてしょうがない。俺は竜太からのキスだけでもう堪らなく滾ってしまいどうしようもなかった。 「竜太……もう俺……」 「あ、そろそろお風呂、行きましょ」 堪らなくなった俺を遮るように、にっこりと竜太は微笑みそう言った。

ともだちにシェアしよう!