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これはデート?
「どこ行こっか? 康介君、どこ行きたい?」
修斗さんはにこにこしながら俺にそう聞いてくる。何? 自分から誘っておいてノープランなの?
けど、別にどこでもいいし、特に何も思いつかない。正直起きたばっかだし、頭もちょっとぼんやりしてる……
「そうだ! 俺、映画観たいの! 映画観よっ?」
めっちゃ自由だなおい……
はいはい、仰せのままに、という気分で俺は修斗さんの行きたいところにお供することにした。
映画館に行くには電車で移動。そこそこ混んでいて残念ながら座れそうになかった。でも席が一人分だけ空いているのが見えて、俺は何も考えずそこに座った。目の前に修斗さんが立ってるのを見てハッとして、席を譲ろうと立ち上がる。
「あ、修斗さん、座ってください」
そう言うと、ぷくっと頬を膨らませながら「年寄り扱いかよ!」と修斗さんは口を尖らせた。
何なの? いちいち可愛い……男なのに。
「康介君座ってな。まだ眠いんでしょ?」
お言葉に甘えて俺が座ると、修斗さんは俺の膝の間に足を入れてきてグリグリしたり、膝同士をくっつけてゴンゴンぶつけてきたりして俺を弄った。「眠いんでしょ?」って俺のこと気遣ってくれたんじゃなかったの? めっちゃ気が散って睡眠どころじゃねえんだけど……
「ちょっと! その膝ゴンゴン痛いからやめて!」
楽しそうな修斗さんは俺が嫌がれば嫌がるほど面白がってゴンゴン膝をぶつけてくる。膝の皿ズレてねえ? めっちゃ痛い……もう嫌だ。
悪戯っぽく笑う修斗さんは可愛いんだけどなんだかちょっと子どもみたい。吊革にぶら下がるようにしてグリグリしてるから、「周りに迷惑です」と言ったら、素直にやめてくれた。
結局電車内で寝る事は出来ずに目的地に到着。映画館で時間を確認すると、次の回までまだまだ時間があった。
「どうします? ちょうど昼時だし、なんか食いましょっか?」
「ねえ、公園行きたい! デートっぽいしさ! ……あ! ボートは……」
「ボートは乗りませんよ!」
「……ちぇ 」
とりあえず、散歩がてら公園に向かった。
公園で手繋ぎデート……うん、よくあるよくある。
ま、俺たちは手なんか繋がないけどさ。
修斗さんがずっと楽しそうなのを見てると俺も嬉しい。
なんだかんだ言っても修斗さんと一緒だとやっぱり楽しいんだよな。強引なところもあるけど嫌いじゃないんだ。俺だけこうやって遊んでもらえて特別なのかも、と思えばやっぱりそれは嬉しかった。
公園内に入り、二人で歩いているとすぐに二人組の女の子に声をかけられた。
「すみません。よかったら一緒に遊びませんか?」
はあ……逆ナンかよ。
別に可愛くもないしタイプでもない。せっかく修斗さんと一緒で楽しいって思い始めてたのに、めっちゃ邪魔された感じがして面白くない。
そう思って俺がムッとしていると、修斗さんが何を思ったのか話し出した。
「ちょうど二人だね。遊ぶって何して遊ぶの?」
え? ちょっと待って? 俺と「デート」中じゃなかったのかよ。
女の子達はキャッキャ言って、何しよっか? なんて笑ってるし。
クソ煩い…… 気分が悪い。
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