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これはデート!

康介君はやっぱりあの時の事を気にしていた。 もっと早く「大丈夫だ」 と伝えてあげればよかった── 学校があれば康介君と会えるけど休みの日は会えないのがなんだか寂しい。 土曜日に俺もデートをしたいアピールしても、康介君は聞いてんだか聞いてないんだかはっきりしない。 俺の事気にかけてくれてんのはわかるんだけどな…… どうも素直じゃないというか、もっと俺が仲良くなりたいのにうまくいかない。 結局康介君との約束は取れなかったけど、強引に家まで行くことにした。幸い陽介さんがいたからちゃっかり家に上がらせてもらった。 康介君の部屋に行くと、康介君はベッドで爆睡中。お腹にだけ布団を掛けて、気持ちよさそうに眠っていた。 俺の事を心配して、めそめそと泣いていた康介君の事を思い出しながら俺は寝顔を眺める。 寝顔があどけなくて可愛いと思ってしまう。 早く起きないかな。 早く遊びに行きたいのと、このまま寝顔を眺めていたい気持ちがせめぎ合う。起こさない程度の力でそっと頭を撫でてみた。おデコに触れるとキュッと眉間に皺が寄る。ツンツンと指で眉間を突くたびにギュッと顔に力が入った。 ……おもしれえ! 今度はおデコにそっとキスする。また眉間がギュッってなった。調子に乗ってもう一回やってみたら、今度はニヤニヤと笑顔になった。必死に笑いをこらえていたら、康介君は起きてしまった。俺が部屋にいたことで不機嫌になってしまったけど、デートができるならどうだっていい。強引に康介君を連れ出して俺たちはデートに出かけた。 観たかった映画があるので映画館に向かう。でも上映時間までまだだいぶあったため公園でお散歩。天気もいいし、本当にデートみたいで楽しくなった。 今日は康介君には内緒だけど……特別な日なんだ。 それなのに逆ナン女のせいで康介君の機嫌が悪くなってしまった。「他のやつと遊べ」だなんて言われ、かなり凹んだ。 俺、康介君と一緒にいたいのに…… なんでこんなに俺のことを避けるのだろう。 でも、突き詰めると康介君は俺にした行為をずっと引きずっていた事がわかった。 「そんな事今まで気にしてたの? 大丈夫だよ……俺、康介君の事好きだよ? それは変わらないからさ、もうその話はおしまい」 俯いたままの康介君がどこまでちゃんと聞いてくれるかわからないけど……ごめんな。正直そんなに気にしてるとは思ってなかった。 だって俺は気にしてない。 むしろ嬉しかったんだからさ──

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