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失態
迂闊だった……
楽しみにしていた映画だったのに、ほとんど覚えてねぇ……
せっかく修斗さんとも好みが同じだったのに、超幻滅じゃん! しかも多分俺、修斗さんの肩にずっと頭乗っけてたっぽい。
……何やってんの? 恥ずかしすぎる。
映画が終わってからもしばらくの間修斗さんは笑ってるし。恥ずかしさで泣きたい……でも修斗さんが楽しそうだからまあいいか。
道を歩いてると怒り心頭な竜と出会う。
修斗さんは竜を見て「そんな怒った顔して珍しいね」なんて軽く言ってるけど、あの竜の怒った顔は相当だぞ? 俺だってあんなに怒ってる竜なんて見たことがない。
周さん何やってんだよ!
泣きそうな顔を必死で隠そうとしてる竜が気になったけど、急に修斗さんに手を取られその場から走り出すはめになってしまった。
なんなんだ??
竜は周さんが追いかけてたっぽいから……大丈夫、だよな?
それよりも、修斗さんだ。コーヒー店で休憩しながら、なんで走って逃げたのか理由を聞いた。
中学の時の同級生がいたから逃げたらしい。逃げるってどんだけなん? って思うよね。それに修斗さん……話しながら少し様子がおかしいの、自分では気づいてないのかな?
すごい話しにくそうだった。その人ときっと何かがあったんだと思う。
どうせ話してくれないだろうな、と思いながら聞いてみたけど、やっぱり詳しくは教えてもらえなかった。
気になってしょうがない。
けど、そんな俺の気持ちをよそに修斗さんは俺の心配をしてくれた。
俺は大丈夫だよ……
心配してくれてありがとう。
そろそろ腹も減ってきたし、帰るかな……なんて考えてたら、これからカラオケ行って飯食って飲もう!なんて言ってくる。
修斗さんは本当に元気だ。今日は本気で一日デートをし通すつもりらしい。ちょっと疲れたな……なんて思っていたら、顔に出てたのか修斗さんにバレてしまった。
「勿論飯は奢るから! そんな嫌な顔しないでくれる? 俺といるのそんなに嫌?」
ションボリとする修斗さん。その表情、苦手なんだよ……心がキュッとなって全力で「ごめんなさい」したくなる。この人わかっててああいうあざとい顔するんだ。わかってるのにやられてしまう俺ってどうなの?
「ごめんなさい……嫌じゃないですよ。楽しいです」
俺の言葉にニコッと笑ってくれて、その笑顔に少し疲れも吹っ飛んだ。
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