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意識
カラオケを終え、俺らは近くのファミレスで食事中。
修斗さんが「夕御飯は俺が奢るんだ」と言って、やたらと小洒落たレストランに俺を連れていこうとしてたけど、そんなにしてもらうのは流石に悪いからなんとかファミレスで許してもらった。
てかさ……
またそんな素敵な事をされたら益々好きになってしまいそうでまずいだろ?
ちょっと不貞腐れた修斗さんが口を尖らせてこっちをジトッと見ている。
「……なんでファミレスなんだよ。せっかくお洒落なとこに連れて行ってあげようと思ってたのにさ。康介君、お誕生日なんだよ? 本当にここでいいの? ファミレスってさあ……」
……いいんです!
その気持ちが、俺は顔から火が出るほど嬉しくて恥ずかしいんだ。
運ばれてきたカルボナーラをフォークでクルクルしながら、修斗さんがさっきからぶつくさと言っている。それでもちっともうるさく感じなかった。
俺のために何かをしてくれようと一生懸命なのが本当に嬉しい。
「修斗さん、本当ありがとう。俺、めちゃくちゃ嬉しいですよ? そんな顔しないでください」
そう素直に伝えると、修斗さんは少し顔を赤くして満足そうに微笑んだ。
俺はハンバーグを食べ終え、トイレに立った。
……貰ったピアス。
さっきは嬉しくて恥ずかしくて、すぐにバッグに入れてしまった。修斗さんは何も言わなかったけど、やっぱりあげたやつをつけてるとこ見たいって思うよな。
きっととびきりの笑顔で「似合ってる」って言ってくれるんだろうな。 想像したらにやけてしまった。
鏡の前で自分の顔を見ると、高揚して頬を赤くした俺が立っている。
うーわ、恥ずかしい ……なんて顔してるんだ俺。シャキッとしろ! そう思って一回顔を洗った。
俺は左に二ヶ所ピアスを開けているんだけど、修斗さんがくれたピアスは今つけている小さめの物とも相性が良くて、凄くいい。もしかしてこれに合わせて選んでくれたのかな。
俺は貰ったピアスを片耳につけて、また席に戻った。
「お帰り 」
そう言って顔をあげた修斗さんが俺のつけてるピアスにすぐに気がつく。
「あ……つけてくれたんだ。やっぱり似合ってる! よかった」
俺を見ながらにっこりと微笑む修斗さんに、照れ臭くって「へへへ……」なんてマヌケな声を発してしまった。
それと俺は大変なことに気がついてしまった──
今は修斗さんは違うピアスをつけているけど、このピアスって修斗さんが持ってるのと同じやつだと思う。
そう、お揃い……
そのことに意味があるのか、それとも特に深い意味はなくプレゼントしたのか、俺にはわからないけど……
ますます俺が修斗さんを意識してしまう事になったのには変わりなかった。
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