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照れ臭いんだ

康介君とカラオケに来た。別に歌いたかったわけじゃない。 誕生日プレゼントを渡すのに二人っきりになれる場所がよかったから……男二人でプレゼント渡す光景、なんか恥ずかしいじゃん? だからカラオケがちょうどよかっただけ。 適当に歌って、頃合いを見て渡そうと思ってたのに康介君てば全然歌わないし、さっきからチラチラ俺のことを見て何か言いたそうにしている。 あ……そうか、あの時の事かな? 俺はすぐにわかってしまった。本当は照れ臭いからあんまり追求されたくないんだけどな……とりあえず康介君に歌わないのか聞いてみた。案の定歌う様子がないし、やっぱり何か言いたそうな顔をしている。わかりやすいんだよね、康介君は。 「……てかさ、さっきから康介君 なにか言いたそうだよね? なに?」 「修斗さん……聞いてもいい?」 少し黙ってから、やっぱりあの時のことを切り出された。 なんであの時怒ったのか…… ヤキモチだって言ってんのに何でキョトンとしてんだよ。 本当にわからねえのかな? わかってるのにあえて俺の口からちゃんと聞きたい、そういうことかな。 「もう! わからない?? あの時康介君が女と楽しそうに話してるのを見てイラッとしちゃったの! ……それに康介君のほっぺにキスしてるように見えたから、離れろ! って思ったの!」 なにこれ、凄え恥ずかしい…… 「キスなんて俺、されてないっすよ?」 「わかってるよ! あの時はそう見えちゃったの! それで気が付いたら腹が立ってオシボリを投げてたの! もうゴメンね! 俺が悪かったってば……もうこの話おしまいっ!」 うわぁ、こんなにテンパるの久しぶりだ。なにやってんだろうな俺。恥ずかしくて顔が見れない。 あ! でもこれ、今出さないともうタイミング逃しそう…… 俺はバッグの中から、慌てて康介君へのプレゼントを取り出した。振り向きざま、こないだのオシボリのように康介君へ投げつけてしまった。思いっきり照れ隠しだってバレバレで余計に恥ずかしい。 驚きながらもナイスキャッチした康介君が困惑した顔をするけど気にせずに、誕生日プレゼントだと伝えた。 周が竜太君の誕生日を陽介さんから聞き出した時に、ついでに弟は竜太君の二日後なんだよって教えてもらったらしい。周は「康介の情報なんて要らん!」ってほざいてたけど……俺はそれを聞いて康介君の誕生日を知ったんだ。 中身を見て康介君がすごい嬉しそうな顔で笑ってくれた。 よかった。 この間の助けてくれたお礼も兼ねて何かしたかったんだ。俺の自己満足でもあるんだけど、やっぱりこんなに嬉しそうな顔を見せてくれたら嬉しいよね。 誕生日だからこの後の食事だってお洒落なところで……って考えてたのにさ。康介君遠慮してファミレスでいいって聞かないから、ファミレスで食事。せめて店員に言ってケーキでも、って提案したら恥ずかしいから絶対にやめろと怒られた。

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