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失踪?
不安になった僕はその場で康介に電話をしてみたけど、何度コールしてもやっぱり康介は電話に出なかった。
「竜太君? どうしたの?」
修斗さんが僕の顔を覗き込んでくる。修斗さんも心配そうな顔をしている。
「康介、今日学校休んでるんです。具合悪いのかな? って思ってたんですけど……電話しても出ませんね……寝てるのかな?」
寝てるといいんだけど、胸騒ぎがしてしょうがなかった。昨日の朝の康介の様子を思い返す。修斗さんとのデートを揶揄われて赤くなっていた康介。お揃いのピアスを誕生日のお祝いだと言われてプレゼントしてもらったと嬉しそうな顔をしていた。修斗さんに対して何か怒っているなんて絶対にありえない。
あ!……そうだった。
昨日朝、登校はしていたけどその後はずっといなかった。小峰君と一緒に出て行ってからは康介の姿を見ていなかった……
放課後もいなかった。だって僕は一人で家に帰ったから……
また助っ人で部活に参加でもしてたのかな? いや、でもずっと康介はいなかったよ?
「昨日の朝、教室に小峰君が来て康介とどっか行ったんですよね……それから一日、教室に戻って来なかったかもしれない」
僕が小峰君の名前を出した瞬間、修斗さんの顔色が変わった。
「小峰? 小峰が康介君を連れていったのか? 」
……?
「……え、えっと、連れていったというか、普通に康介が自分から……」
僕が言い終わらないうちに修斗さんは凄い勢いで飛び出して行ってしまった。
……なに? 修斗さん怖い顔。
驚いて高坂先生の方を見ると、先生も不安げな顔をして僕を見ていた。
「先生?」
志音は先生の隣でわけがわからないといった顔をしている。先生は首を捻って「ううん……」と唸り、僕を見ながら信じられないことを口にした。
「こないだのさ……修斗くんを襲った黒幕、張本人は小峰くんだって聞いたんだけど……」
「え? どういうことですか? は? 嘘だ! ……先生、それ本当?」
だって……だって康介、あの時自分から小峰君のところに行ったんだ。
……ていうか、小峰君が? 修斗さんを?
あ、でも小峰君、図書室で会った時、修斗さんの事を悪く言っていたっけ。
僕は怖くなって陽介さんにも電話をかけてみた。
『あ、竜太君? ……ん、康介? いないよ。珍しく昨日は帰ってこなかったんだよね。あいつにしちゃ、連絡もなしで外泊なんて珍しいんだよな 』
陽介さんの言ったことに愕然とした。
何で? 帰ってない? 外泊?
「陽介さん! 康介から連絡あったら僕に連絡ください! お願いします 」
僕は陽介さんにそう言って、電話を切った。
「先生……どうしよう。康介昨日から家に帰ってないって……」
僕はあの時の修斗さんの痛々しい姿が頭に浮かび、心配で心配で居ても立っても居られなかった。
「修斗くんは何か心当たりがあって飛び出してったのかな? ……志音くんはこれからお仕事だよね? 心配なのはわかるけど、君はもう行かなきゃ…… 」
そう言って高坂先生は志音を送り出しながら、難しい顔をして僕を見る。
「とりあえず……校内にいないか、もう一度僕も探してみるから。……ただ、昨日から家に帰って来てないんだよね? なら学校内にいる可能性は低いかな」
嫌だよ……嘘でしょ?
康介、どこ行っちゃったの?
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