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気付き始めた康介
土曜日の修斗さんとのデートで俺は自分の気持ちに気付いてしまった……
D-ASCH が大好きで、その中でもベースの修斗さんのファンだった俺。
カッコいいし、優しいし、楽しい人──
いつの間にか仲良くなれて、側にいられることが多くなった。
友達として……
頼れる先輩として……
そういう意味で好きなのかと思ってた。
でも、修斗さんに対しての嫉妬心や愛おしさ、胸がドキドキするこの感覚に段々戸惑い始めてしまった。
独占欲。
ここまできたら、これは単なる敬愛の「好き」じゃない。
修斗さんは俺の事をよく構ってくれるし楽しそうにしてくれるから、きっと俺のことを好いてくれてるんだと思う。
……でもその「好き」は俺の思う「好き」とは違う。
俺と同じなら嬉しい。けど、もし違ってたらって思うと怖くて確認なんてできっこない。
だからこのままでいいと思う。
お揃いのピアスを俺にプレゼントしてくれた。これは素直に嬉しい。
好きな人とお揃い……
女々しいなって我ながら思うけど、これは俺の宝物になった。
月曜日、学校に行くといきなり志音にピアスの事を指摘される。
どんだけ鋭いんだよ……
黙っていると、まじまじと見つめたまま志音が話を続けた。
「そうだよ、どっかで見たことがあると思ったらさ、それ修斗さんのピアスと同じでしょ? なに? 真似したの?」
真似なんてしてねーよ!
「……違うよ。そんなんじゃねえし」
誤魔化してるうちに竜まで話に加わり、やっぱり修斗さんのとお揃いだと断言された。
もう、恥ずかしすぎる……
「康介、修斗さんからもらったの?……あ!そうだよ、康介今日お誕生日だったよね。おめでとう!」
ここまで言われちゃ、誤魔化しようがないよな。観念して、プレゼントで修斗さんから貰ったと認めると、更に揶揄うように言ってくるから勘弁してほしかった。
そのうち志音が竜のブレスにも気がつき指摘する。
竜は嬉しそうに周さんからのプレゼントでお揃いなんだと教えてくれた。
……素直にそう言えるのが羨ましい。
自分がちゃんと相手から思われているってわかっているから安心して寄り添えるんだ。
俺は……
わからないから自信がない。素直になれない。気まずくなるのがイヤだから絶対に自分の気持ちは打ち明けられないとそう思った。
チャイムが鳴る直前、廊下に小峰がいるのに気がつく。何かを言いたそうにこちらを見てるから、俺は小峰のところに向かった。
「……どうしたの?」
小峰に聞くと、ちょっと話があるからと言われ二人で屋上に向かった。
心做しか元気がない小峰。どうかしたのかな?
屋上に着くと誰もいなかった。そしてちょうど始業のチャイムが響いた。 深刻な小峰の顔……しょうがないから付き合ってやるかと俺はベンチに座った。
小峰が話し出すのをしばらく待っていたけど、なかなか話ださないので俺の方から声を掛ける。
「どうした? 話って……」
俺が切り出すと、寂しそうな顔をして小峰が話し出した。
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