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消えた康介
火曜日の放課後、僕は高坂先生から修斗さんを襲った犯人が小峰君だと聞かされた。
襲われて意識のない修斗さんを助けたのは康介だったはず。なのになんで昨日の朝、その犯人の小峰君のところに康介は行ったの?
犯人だって知らなかった? ……いや、そんなはずはないよね?
仕返ししようとしてる? ……康介はそんな事するタイプじゃない。
じゃぁ、なんで?──
僕は周さんに電話をして、同じ事を聞いてみた。
『あ? 修斗襲ったのは間違いなく小峰だよ。あいつ修斗に恨み持ってる奴ら何人も集めてけしかけたんだ。修斗が嬲られている姿を撮ろうとビデオまで用意しやがって……思い出しただけでも腹が立つ!』
そう言って怖い声で怒ってる周さん。
僕は昨日の朝、小峰君が教室に来てから康介が家にも帰らず連絡が取れなくなってることを伝えると、やっぱり驚いたように僕に言った。
『康介が連れてかれたのか? ……ん? 連れてかれたんじゃねえのか? ……あ? 自分から小峰についてったんか? 康介の奴、何考えてんだ? 小峰は康介の事が好きで、邪魔な修斗を襲ったんだぞ? 平気で薬だって使うような奴だから……ちょっと心配だな』
え? 小峰君が康介の事を好き?
……薬? ビデオカメラ?
嫌だ! 何だよそれ!
「周さん! どうしよう! 康介大丈夫かな? やだよ! 怖いよ……」
ただでさえ康介の行方が分からないのに不安で頭がパニックになる。あれから何度電話をしてももう呼び出し音すら鳴らない。きっと電源が切れているんだろう。
修斗さんも電話に出てくれないし……
『とりあえず、竜太は落ち着こう! な? 大丈夫だから。あんまり悪い方に考えるな。いざとなったら康介だって強えだろ? おい……竜太聞いてる? 泣くな、大丈夫だから! 竜太? 俺の声、聞こえてるか?……泣かないで」
電話口で泣いてしまった僕を落ち着かせようと周さんが一生懸命優しく話しかけてくれる。僕は情けなくなって、周さんに「もう泣きません!」と宣言して、バイト中に邪魔してしまったことを詫びた。
僕は周さんとの電話を切ると、一度深呼吸をして考えた。康介とは連絡が取れないし、どこにいるかもわからない。
学校にも結局いなかった。志音は仕事だと言っていたし、周さんも今はバイト中……
修斗さんはきっと一人であちこち探し回ってるんだろう。
僕だって家になんていられない。いてもたってもいられず、僕はもう一度修斗さんに電話をしてみた。
『……竜太君? どうした?』
よかった! 今度は繋がった!
「修斗さん! 今どこですか? 僕も一緒に康介探します!」
僕がそう言うと、電話口から修斗さんの小さな溜め息が聞こえてきた。
『色々聞き出して探してるんだけど……どうもわからないんだよ。康介君さ、なんで小峰なんかと一緒に消えたんだ? ……どこ行ったんだよ。康介……』
修斗さんのこんな弱々しい声、初めて聞いた。声を聞いてるだけで泣きたくなってしまう。康介ったら一体どこで何やってんだよ! 修斗さんも心配してるよ!
「修斗さん? 今どこですか?……そこにいてください。僕今からそっち行きますから!」
僕はそう言って場所を聞き出し、急いで修斗さんの所へ向かった。
康介の事も心配だけど、修斗さんも心配だ──
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