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志音が掴んだ手掛かり
保健室での事──
なんで修斗さんがあんなに慌てた様子だったのか、先生が「修斗さんが襲われた」と言っていた事とか、俺にはちっとも話がわからなかった。
気になるしただ事じゃない雰囲気だったから、下校しながら高坂先生に電話で話を聞いた。
拉致とか薬とか暴行とか……正直驚いた。
昨日の朝、廊下にいて康介君が一緒にいた奴が小峰。そんな酷いことをするような面には見えなかったけど、人は見かけじゃないからな。でも康介君は小峰とどこかに消えてそれっきり姿を見せなかったんだ。
心配だけど、今日は仕事が入ってる。でも撮影が一本だけだったから早く帰らせてもらって高坂先生と落ち合った。
繁華街を二人で歩きながら康介君を探すも見つかるわけがなく、途方にくれた。
「康介くんと小峰がここら辺をウロついてるとは考えにくいな……どこかに連れ込まれてる可能性が高いと思う……」
康介君……いや、小峰の行きそうな所なんて知るわけがない。
そんな話をしていると、これからご出勤なのか向こうから悠さんが歩いてきた。
にこやかにこちらに手を振りながら歩いてくる悠さん。俺の顔を見るなり何かを思い出したように「あ!」っと声をあげた。
「そういえばさ、こないだのハロウィンの時、志音君の友達でホストっぽい格好してた子いたじゃん? かっこいい子。多分その子だったと思うんだけど……彼ゲイじゃないよね? ノンケ君だよね?」
悠さんが突然わけわかんない事言ってる……
って、ちょっと待って、ホスト? ホストの格好って言ったら康介君じゃんか!
「え? 悠さん! それ康介君だ! ……康介君はゲイじゃないよ。なに? 康介君がどうしたの?」
俺の慌てっぷりに悠さんが驚く。
「いやさ、昨日の夕方にその康介君って子と、もうひとり小柄な男の子がBawdyに入ってったんだよね。Bawdyってちょっと如何わしい店でさぁ……一階は普通のバーなんだけど二階がレンタルルームっぽくなってて、まぁ、アレだ……ちょっとしたハッテン場的な? うん……とにかく高校生が行くようなお店でもないしさ、ましてや康介君みたいな子はねぇ。もうひとりの子はお仲間みたいだったけど……知っててあの店に入ったのかね?」
悠さんが恐ろしいことを言っている。とにかくそこだ! そこに行かなきゃ!
俺は高坂先生を見る。先生も怖い顔で固まっていた。
「先生! そこのお店行ってみよ!」
てか、みんなに連絡……とりあえず修斗さん! 俺は慌てて修斗さんに連絡するも電話が繋がらず、しょうがないから竜太君に電話をした。
そして幸い竜太君は修斗さんと一緒にいることがわかり、俺達はその店に向かった。
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