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ここは何処?
ん????
ここはどこだ?
ふと目が覚めた俺は見慣れない部屋に首を傾げる。
はい?
目の前には小峰……は? 裸?
は? なんで俺パンツ一丁?
裸だと思った小峰も俺と同じでパンツは履いていた。一瞬ホッとしたものの、なんで? なんで俺、小峰を抱いて寝てたんだ? 脱いでるし…… 混乱!
待って?
何やってんの? 俺!
全く状況がわからず、必死で昨晩の事を思い返した。
そうだ、小峰が飲みに行こうって言い出したんだ。俺ら制服なのに……
知り合いの店だから平気だと言って、何やら怪しげな店に連れてかれたんだっけ。
薄暗くて、店内に入ると至る所から視線を感じた。制服姿の俺たちには似つかわしくないその店の奥の個室に案内されると、頼んでもないのにビールと食事が運ばれてきた。
案内してくれた店員と小峰が何かを喋ってる。知り合いってあの人なのかな? そんな風に思っていると「注文は僕に任せてね」と言って、小峰は少しの間席を外した。こんな店に一人残されて不安だったっけ……
少ししてから小峰が戻り、運ばれて来た料理を食べながら二人で飲んだ。でも俺は腹が減ってたからあまり飲まないで飯ばかり食ってたはず。酔っ払ってもいなかった。
キーマカレーとか、生春巻きとか、出てくる料理はみんな美味くて絶賛してたんだよな。
あれ? その後は?
あ! 思い出した。
小峰が俺が誕生日だって知っていて、ケーキまで用意してくれたんだ。小ぶりな苺ショートケーキ。うん、あれも美味かったな。
俺……ちゃんと記憶あるな。おかしいな?
腹一杯だったけど、ケーキはちゃんと食って…… もう酒はいいって言ったらお茶をくれて……
そうだ!
そのお茶飲んだら眠くなってきたんだ。そんな酒飲んでねえのになぁって思いながら、そっか、そのまま寝ちまったんだな。
俺は必死に記憶を遡り、やっと事態を把握した。
……で?
だからここは何処なんだ? 腕めっちゃ痛えし……
俺は小峰を抱えるようにして寝ていたらしく、俺の胸の中で小峰は寝息を立ててまだ眠ってる。小峰の頭が乗っかってる方の腕が痺れてビリビリしてきた。
でさ、認めたくないんだけど、見てしまったコレ……この俺の手首にあるのはさ、手錠だよな? 俺、手錠かけられてパンツ一丁で小峰と抱き合って……
なんの冗談だ?
俺、何もしてねえよな? されてもいないよな? 俺のジュニアは平常通りだよな?
小峰を起こすのが怖いんだけど……
身動きもできず、そんな事を考えていたら小峰がモゾモゾと動き出す。
うゎ、起きた……俺の目の前でパッチリと目を開け俺を見つめる小峰。
「あ、康介君おはよ……」
「………はよ」
少し目を泳がせた小峰が俺の腕の中から抜け出すと、体を起こしてベッドに座った。
そんな小峰を見ながら俺は痺れた腕を庇い、その場で上半身だけ起こしヘッドボードにもたれた。
「……あのさ、これ、状況説明してくれるかな?」
自分についている手錠を見ながら小峰に聞く。もう嫌な予感しかしないけど、オドオドした目で俺を見ながらゆっくりと小峰は話し出した。
「ゴメンね。康介君……僕、康介君の事が好きなんだ」
それはもう知ってる。
「てかさ、ここどこなんだよ?」
そう聞くと、昨日の店の二階だと教えてくれた。部屋を見渡してみると、狭い空間にベッドや小さい冷蔵庫、シャワーまであった。
ホテルとは違う異様な感じの部屋……あの飲食店の二階って言ったけど、何のためにこんな部屋があるのだろう。宿直室みたいなもんかな?
「で、この手首についてるやつは?」
俺は腕をあげ手錠を掲げる。すると、申し訳なさそうに小峰が頭を下げた。
「本当にゴメンね。こうしないと……康介君、怒ると思うから…… 」
いや、もう既に俺怒ってるけどね?
「土曜日さ、康介君が谷中先輩とデートしてるの見て……僕我慢できなかったんだ」
小峰は俯いたまま、ポツリポツリと話し出した。
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