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ごめんなさい

言葉が出ずに黙ってしまっていると、修斗さんが静かに話し出した。 「俺ね、こないだ小峰に襲われた時、康介君助けてくれたじゃん? 目が覚めたらさ、保健室にいて 康介君は俺に抱きついて泣きながら震えてて……なんで康介君がそんなんなってんのか俺わからなかったけど、昨日の事でよくわかったんだ。俺も震えが止まらなかった。怖いし悲しいし……」 淡々と修斗さんが喋ってる。 「俺もさ、すげえ康介君に心配かけちゃったんだな。ごめんね。康介君……」 なんで俺に謝るの? 謝るのは俺じゃん! てか、修斗さんそんなに俺のこと心配してくれたの? それなのに俺、修斗さんの手を振りほどいて拒否した…… 自分の不甲斐なさとか情けなさに涙が溢れてしまった。 「康介君… …もう泣かないで。俺は平気だよ?」 修斗さんがこっちを見てる……でも目が合わせられない。 「正直さ、康介君が小峰と何があったのか凄え気になるけど、何があったって俺が康介君を嫌いになるなんてあり得ないから……だから、大丈夫だから。お願いだからもう泣かないで」 修斗さん悲しい声…… ごめんなさい! ごめんなさい! 小峰とは何もなかった。 ただ楽しく二人でデートしただけ…… 「……俺、許せないんだ。修斗さんにあんな酷い事した奴と……楽しくデートして……俺はバカなんだ……」 「康介君?」 修斗さんがどんな顔をしているのか見られない。 でも、一度吐き出したらもう止まらなかった。 「自分が許せないんだ。修斗さんに軽蔑されたってしょうがないことしちゃったから。でも……でも、修斗さんが俺から離れてっちゃうのが怖いんです……イヤなんです……」 修斗さんが好きだから、 怖いんだ── 「康介君、小峰に何かされたの?」 修斗さんが震える声で聞いてきた。 「ううん、何もないです。デートがしたいって言う小峰とデートしただけ……」 「デートしただけでそんな事言ってるの? だって小峰が犯人だって知らなかったんだろ? 康介君なにも悪くねえじゃん」 修斗さん、驚いて俺の肩を掴んで顔を覗き込んできた。 「違う! 俺、小峰が犯人だって思ってた。でも小峰が誤解だって泣いて言うから……小峰のこと信じちゃって……ごめんなさい。本当にごめんなさいっ!」 言ってしまった…… 軽蔑される。わかってたくせに、まんまと騙された俺を修斗さんはきっと蔑むんだ…… 目の前で修斗さんの長い溜息が聞こえた。 ……幻滅されてしまった。 悔やんでも悔やみ切れない。下を向いたまま、ボタボタと情けなく落ちる自分の涙を見つめながら俺は諦めの境地にいた。 「康介君、こっち見て! 俺の事ちゃんと見て」 肩を掴み、俺のことを覗き込んでくる修斗さんを恐る恐る見る。 「体もこっち向けて! 泣いてないでちゃんと俺の顔見て!」 ……ごめんなさい。修斗さん怒ってる。

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