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学業専念
康介の行方不明事件は無事に解決した──
康介当人はというと、事件後しばらくの間ニヤニヤしてみたり真っ赤になったり…… なにか考え事をしては心中忙しそうにしていた。
見ていてすごい面白い……
とくに康介には聞いてないけど、修斗さんとも前と変わらず仲よさそうにやっているので、ちゃんと話が出来たんだと思う。
よかったね、康介。
でもこの行方不明事件は解決したけど、今度はまた大変な問題が僕らを待ち受けていた。
そう……
もうすぐ学力テストが始まる。
僕と周さんはテスト明けの連休を使って以前康介から譲ってもらった遊園地のパスポートとホテルの宿泊券を利用して遊びに行く計画を立てていた。
それなのに!
周さん、今度のテストの結果が悪かったら……というか、赤点だったら連休は補習になってしまうと言い出したんだ。
普通に勉強していたら赤点なんて取るわけないでしょ? 今まで何をやっていたんだ……そう僕が言ったら「竜太は馬鹿か?」と言われてしまって意味がわからない。周さんが言うには、勉強は頑張ってやっても頑張らなくても、できる奴にはできるし、できない奴はできない……って事だそうだ。
全くもって僕には理解不能……
結局の所、周さんは勉強がしたくないんだ。
この事でちょっと喧嘩をした。
でも、僕は悪くない!
周さんが頑張って勉強すればいいんだ!
僕は遊園地を楽しみにしていたから、こんな事で行けなくなるなんてあり得ない! と憤慨した。
「テストが終わるまで周さんとは会いません! 電話もメールもしません! ……周さんが頑張ってくれないと、遊園地だって行けないんだ。それでも勉強したくないなんて言うんなら、もう僕は知りません!」
言ってしまった。ワガママな癇癪みたいだと自分でも嫌になるけど、ここまで言わないときっと周さんは勉強なんてしないから。努力もしないで諦めるなんて絶対ダメだ。
……でも会えないの、やっぱり嫌だよ周さん。
昼休み、一人で屋上で弁当を食べていると修斗さんがやってきた。
「あれ? 今日はおひとり様なの?」
そう、今日は康介もいない。
「ねえねえ竜太君聞いてよ。周が気持ち悪いんだよ。あいつ休み時間とか一人で勉強してんの。教科書開いて難しい顔しちゃってさ……でもいくら教科書眺めてたってわからないもんはわからないみたいで、なんかイライラしちゃってんの。どうしちゃったんだろうね。なんか悪いもんでも食ったんかな?」
修斗さんが心底気持ち悪いといった顔で僕に言う。
「極め付けに担任まで俺に聞くんだよ。橘は何をやってんだ? って。ウケるよね? 勉強してんだから担任なら褒めてやれよって! 」
それを聞いて僕は嬉しかった。周さん、勉強頑張ってくれてるんだ。
でも、効率悪そうだな……
なんとかしてあげたくて、僕は修斗さんにこの事を相談することにした。
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