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補充完了
圭さんの家での勉強会は三回も続いた。
「もうそろそろ、各々のお家で頑張りなさいな」
そうやんわりと圭さんに断られ、みんなで一緒の勉強会はこれでおしまいになった。
各々頑張れと言っても周さんは一人だと絶対にやらないから、それからは僕の家に来るようになった。
二人きりで嬉しいけど、僕は二年生の勉強は教えてあげられない。それを言ったら、周さんは僕が側にいるだけでやる気が出るから大丈夫だと笑った。
逆に僕は周さんといるとドキドキしちゃって勉強に身が入らない。おまけにご褒美のお願いをされてからは、そのことばかり考えてしまう。修斗さんの言う通り、僕も康介と一緒でムッツリなんだろうな、きっと……
今日も僕の目の前で英語の単語帳をペラペラしながら暗記している周さんを気にしつつ、自分もテキストを解いていく。
周さんの真剣な顔、かっこいいな……
明日はいよいよテストだというのに、周さんに見惚れてばっかじゃダメだ、頑張ろう。
「周さん、大丈夫ですか? テスト……頑張ったんだから、一緒に遊園地行きましょうね」
僕が言うと「竜太のラブ補充してくれればもうばっちり!」なんて言うので、僕は周さんの膝に乗り、首に抱きつき優しくキスをした。
ラブ補充ってこういう事……だよね? 自分からしておいて恥ずかしくなってしまった。
チュッと啄むようにキスをして「補充できましたか?」と聞いてみたら周さんは首を傾げる。
「ん? まだ足りないかも……」
そんな風に言うもんだから、今度は優しく口付けてゆっくりと自分の舌を差し入れた。
周さんが僕の舌に応えて軽く舌を絡めてくる。ドキドキしちゃって少しだけエッチな気分になってしまった。
「竜太のラブ補充完了! 」
そう言って周さんは嬉しそうに僕から離れてしまった。 満足そうな周さんが僕を見るけど……僕はまだまだ全然足りない。
膝の上から降りようともせず黙っている僕に気付き、周さんがまた首を傾げた。
「竜太? どした? ……補充おわったぞ。ありがとな」
少し困った顔で僕を見ている。
「僕も……もっと周さんのラブ、補充したいです」
恥ずかしかったけど僕もそう伝えると、周さんは少し赤くなって僕を見た。そのままギュッーっと強く抱きしめてくれ、首筋にキスまでしてくれた。既にムズムズしてしまっていた僕はそれだけでも感じてしまい体がビクッとなってしまう。思わず仰け反ってしまうと、首筋から僕の頬を周さんの舌が這いまわった。
「竜太……もっとキス」
僕は言われるがまま口を軽く開き、周さんを受け入れる。絡みつく周さんの舌が僕の口内の気持ちのいいところを探ってくる。キスをされているだけなのに、腰の辺りがゾワゾワと快感で痺れていった。
「んっ……あ、ん……あ……はぁ……あっ……だめっ 」
これ以上やったら「ラブ補充」どころじゃなくなってしまう。僕は慌てて周さんの胸のあたりをグッと押して「もうやめて」と意思表示するも、抱きしめる腕の力は全然変わらなかった。
耳朶を甘噛みされながら、ぞわぞわする腰の辺りを周さんの手が蠢く。そんなところを触られたらもっと期待してしまう……
「あぁ、周さんっ……だめっ……あん 」
大きな声が出ないように両手で自分の口を塞ぎ快感に堪えていると、突然ドアがノックされて心臓が飛び跳ねた。
「竜太? 周君、ジュース飲む?」
ドアの外から元気な母さんの声が聞こえ、僕も周さんも慌てて体を離し体勢を整える。衣服を直しながら「ありがとう!」と返事をしていると周さんはクスクスと笑った。
「俺のラブ補充、途中で終わっちゃったけど大丈夫? 足りた?」
ニヤニヤしながら聞いてきたから、ちょっとムッとしてしまった。
「もう充分です!」
でも、ほんとにもう周さんのラブ補充は充分。
だってこれ以上されたら、もっともっと欲しくなっちゃうから……
これで明日もお互い頑張れるね。
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