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お疲れ様会スタート
圭さんの家に着くと、圭さんと陽介さんが色違いのお揃いのエプロンを着けて出迎えてくれた。
「お邪魔します」
まるで仲良し夫婦だ…… あまりにも自然な二人を見てやっぱりいいな、と憧れる。
「周さんたちはまだですか?」
「ああ、買い物してから来るってさ」
玄関に入る前から既にいいい匂いが立ち込めていた。独特の鼻を擽るいい匂い……
「圭さん、今日はカレーですね!」
家で食べているような家庭的なカレーの匂いじゃなくて、色んなスパイスの混ざった香り。食欲を唆られる独特なカレーの匂い。
「そう! 圭ちゃんの特製だよ。凄えの。スパイスからの本格カレーとナン!」
「ナン?」
得意げな陽介さんに康介も驚いた顔をする。ナンって…… 圭さん、本当に凄いな。
「俺ね、サラダ作ったの。見て! ジャーン」
僕らの前にてんこ盛りのサラダをズズいっと出して嬉しそうな陽介さんを康介が馬鹿にした。
「たかがサラダで何得意になってんの?」
「は?うるさいよお前には言ってねえし」
すぐに兄弟喧嘩になってしまう鷲尾兄弟。でも本当はすごく仲がいいんだよね。ちゃんと知ってる。
「はいはい、僕らも何かお手伝いしよ? ね、康介」
康介を陽介さんから離し、僕も圭さんに声をかけグラスを並べる手伝いをした。
テーブルの上には既につまみが並んでいた。ピンチョスとぬか漬け、キノコとベーコンを炒めたやつとか、あとピーナッツ。
……ここお店かな?
どれもやっぱり美味しそう。
「そういえば、康介はご褒美なにしてもらうの??」
気になったから聞いてみたけど、思った通り顔を赤くして康介は黙ってしまった。でもすぐに「もう決めてある」と意外にもあっさりそう言うものだからびっくりした。康介のことだから、恥ずかしがって遠慮するかと思ってたのに、そんな風に言われたら余計に気になっちゃうじゃん。
何をお願いするのかな。
「ねえねえ修斗さんに何お願いするの?」
「……内緒!」
「えー、教えてよ」
「……だめ」
康介とそんな話をしているうちに周さんと修斗さんも到着した。手にはお酒も持っている。全く毎回毎回、ダメなんだから……
「靖史も後から来るから 、先に始めてよっか」
圭さんがまた料理を出しながらみんなに言った。
靖史さんと会うのも久しぶりだな。
陽介さんの乾杯の音頭で「お疲れ様会」という名の飲み会がスタートした。
僕はいつものように周さんの膝の間に座る。
「ほんとに赤点じゃなくてよかったですね。頑張ったかいがありましたね」
凄く嬉しかったんだ。遊園地に行けることも勿論だけど、諦めていた周さんがここまで頑張ってくれたんだから。修斗さんも周さんが勉強している姿なんて滅多に見られないって笑ってた。
「なんだよ、そんな至近距離で可愛い顔して喋んなよ。キスしたくなる」
周さんは照れ隠しなんだか、そんなことを言うから僕が皆んなに笑われてしまった。
「そういえばさ、周は竜太君に何をおねだりするの?ご褒美もらう約束したんだって?」
陽介さんが自分の作ったサラダを取り分けながら聞いてきた。
あ……そうだった。康介のことが気になりすぎて自分のことを忘れていた。
「あ……周さん?」
恐る恐る振り返り、僕は周さんの顔を見た。ニヤニヤしている周さんの表情を見て気持ちが焦る。この場で、みんなの前で話せる事だよね? 大丈夫だよね? 変なこと、言わないよね?
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