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ご褒美

しばらく黙り込んでいる周さん── みんなが注目する中、やっと周さんが口を開いた。 「ご褒美……実はまだ決まってねぇんだよな」 「え、そうなんですか?」 ちょっとホッとした。でもドキドキしちゃったじゃん……変な緊張で汗かいちゃった。 「だってさ、何でも言う事聞いてもらうって言ってもさ……竜太は普段から俺のお願い何でも聞いてくれるんだもん……エロい事だって言えばなんでも……例えば」 ちょっと待って?! 「 周さん?? それ以上言わないでください!」 僕は慌てて周さんの口を塞ぐ。何言っちゃってんの? ヤダヤダ恥ずかしい! 確かに周さんに言われれば大抵のことはノーとは言わないけど……けども! 何を言い出すのかと思ったら! 「周さん! なんでそういう余計なこと言うんですか! もう!」 「余計なこと? え? 竜太怒ってんの? なんで?」 「あはは、竜太君顔真っ赤。思いもよらない周の爆弾食らっちゃったね」 修斗さんが爆笑してる。そして思い出したかのように、康介の方に向き直った。 「そうだ! 康介君はもう決めた? ご褒美! 」 わくわくした顔で康介を覗き込んでる修斗さんがなんだか可愛い。 「………… 」 「ねえ、康介君もまだ決めてない?」 じっと康介を見つめる修斗さん。皆んなも康介の発言に期待してジッと見つめる。 「いや……ちゃんと 決めてます」 康介は顔を赤らめて小さな声でボソッと答えた。修斗さんは言葉の続きを待っているのか、にこにこしながら小首を傾げて黙って康介を見続けている。 康介は期待して待つ皆んなの方をキョロっと見渡してから「内緒です」と言って俯いてしまった。 「えー、なんだよ言えよ」 「はいはい! みんな注目しないでね! 俺だけが康介君のお願いちゃんと聞くから……」 そう言いながら、修斗さんは康介の顔に耳を寄せて内緒話の仕草をした。 「内緒って言っても俺には言わなきゃわかんないでしょ? はい、こっそり教えてみ? 」 真っ赤な康介は、おずおずと修斗さんの耳元で何かを話しだした。 小さな声で何を言ってるのかわからない。康介のお願いを聞いている修斗さんもキョトンとした微妙な表情をしている。 「……本当にそんなんでいいの?」 驚いて康介の顔を見る修斗さんに、康介は真っ赤な顔をして小さく頷いた。 康介、修斗さんになんて言ったんだろう。周さんも陽介さんも「何だよー! 教えろよー! 康介のエロー!」って言って騒いでいる。康介はと言うと相変わらず恥ずかしそうな顔をして黙ったまんま。ちょっと可哀想なくらい。本当に何を言ったんだろうね。 「外野うるせえ! 康介はエロくないぞ!」 修斗さんはそう言って、そんな二人を黙らせた。 「周さん、もう静かにしましょ! 康介イジメないで下さい!」 僕にも怒られて、やっと周さんは静かになった。 修斗さんと康介を見ると、なんとなく修斗さんも恥ずかしそうに赤くなっている。それはお酒のせいなのかな?

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