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付き合ってんの?

しばらくして靖史さんも到着した。「駆け付け一杯!」と言いながら、ひとまず一杯目を一気飲みする……誰も頼んでないのに、自ら一気飲み。 圭さんが「みんな揃ったから」と言い、カレーとナンをテーブルに運んでくる。 本格的な圭さん特製カレーは凄く美味しかった。勿論ナンもね。 「………… 」 食べながら修斗さんと康介の様子をジッと見つめる靖史さん。不思議そうな顔をして「お前らいつから付き合ってんの?」と突然聞いた。 「は? 靖史さん? 俺ら別に付き合ってませんって! なんで?? なんで突然そんな事言うんすか?」 驚いた康介は、また顔を赤くして全否定した。修斗さんも不思議そうに靖史さんの方を見る。 「いや……なんとなく? 雰囲気が……かな? そか、違うんか。そりゃ失礼いたしました」 そう言って靖史さんは笑った。 「そういや男子校ってのはすぐに男が好きになっちゃうもんなのか? 俺にはわからん不思議ワールドだな。さっきエントランスで志音と会ったぞ。色男と一緒に……ありゃ彼氏かな?」 あ! 今日は志音、デートだって言ってた。 「靖史さん、きっと彼氏ですよその人。今日はデートだって言ってたし」 どんな人なんだろうな? 気になっちゃうな…… 「あ、そうか。靖史さん学校違うし会ったことないか」 修斗さんが突然そんなことを言うから皆んなは何のことやらさっぱりだ。 「へ? どういう事ですか? 修斗さん」 僕が聞くと、靖史さんが会ったのは多分高坂先生だと言った。 「え! 本当ですか? なに? 志音がそう言ったんですか??」 僕は驚いて思わず修斗さんに詰め寄ってしまった。 「いやいや、そうは言ってないけど……なに? なんとなく? 雰囲気が?」 先程の靖史さんみたいにそう言って、修斗さんは笑った。 志音のお相手は気になるけど、もし先生だったとしたら聞かないほうがいいのかな…… でも、志音は悩んでる様子もなさそうだし、楽しくいられてるなら大丈夫だよね。 それにしても、全然気づかなかったなぁ。毎日近くにいるのにな。 「康介は気づいてた?」 思わず康介に聞いてみるけど「ウンウン」と生返事だからきっと話を聞いてないんだろう。さっきのご褒美のことで、康介は精神的に閉店状態なんだろうな。心ここに在らずでポーッとしている康介を見て、話しかけるのを諦めた。 周さんは興味がなさそうに、ナンをちぎってもぐもぐ食べてる。圭さんの程よく辛いスパイシーカレーがめちゃめちゃハマったらしくて、周さんは独り占めするように食べていた。 ふと康介を見ると、酔っ払ってしまったのか修斗さんにもたれてフラフラし始めた。 「修斗さん、康介大丈夫ですか? 酔っちゃったのかな…… 」 「さっきみんなにからかわれて、ついつい飲んじゃったみたいだな……ペース早かったもん 」 修斗さんは康介を見て優しく笑った。でも突然むくりと顔を上げた康介が「酔ってまへんっ!……ふんっ!」と鼻息荒く返事をするから呆気にとられてしまった。 ……間違いなく酔っ払ってますね、康介。

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