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遊園地デート

今日は待ちに待った泊りがけの遊園地デート! 存分に周さんと遊んで、次の日まで一緒にいられる。 遊園地なんて小さな頃に家族で何度か行った記憶はある。でも僕は家族以外とは行ったことがなかった。 だからとっても楽しみだったんだ。 朝早く家を出て、遊園地で一日中遊んで、その日はホテルに泊まる。次の日は近くを観光しながら帰ろうかと周さんと計画を立てていた。 そうして今、遊園地に向かって僕らは電車に揺られてるわけなんだけど…… 「何でかな! やっぱりお前らも一緒っていうのが気に入らねえな。せっかく竜太と二人っきりだと思ったのに」 あからさまに機嫌の悪い周さんの横で楽しそうに笑ってるのは修斗さん。修斗さんの隣には陽介さんと康介の兄弟。もちろん圭さんも一緒だ。 そう、修斗さんの提案で遊園地トリプルデートにしようって事になったみたい。康介はなんだか納得のいってない顔で一人でブツブツと独り言を言っている。 「トリプルデートって……竜達と兄貴達はわかるけど、俺と修斗さんは別に付き合ってねぇし……あ、いや、付き合ってるって思われてるんならそれはそれで嬉しいけどさ……」 ぶつぶつ言っている康介の独り言は、とりあえず誰も聞いてないみたいだ。 「そんな顔すんなって。遊園地はみんなで遊んだ方が楽しいだろ?」 「それに周だって俺らがいた方が都合がいいんじゃないの?」 「……?」 都合がいいってなんだろう? 修斗さんは周さんの方を見てニヤニヤしている。 「そうだよ。どうせお前らはホテルに泊まってくんだろ? 一緒にいるのは遊園地だけだし別にいいじゃんか」 陽介さんもそう言って周さんの顔を見た。 ブスっとした周さんと、まだ納得のいかない顔の康介も一緒に、電車は目的地へ到着した。 よく考えたらこの宿泊券付フリーパスは元々は康介の物だったんだよね。 あの時は康介「一緒に行く人がいないから」と言って僕にくれたけど……今なら修斗さんと一緒に行けたんじゃないのかな? なんか悪い事しちゃったな。 現地に到着し、まずは泊まるホテルに荷物を預ける。そこでフリーパスを受け取り、僕らは遊園地の入場口で開場を待った。 ……なんだかワクワクしてきた! でも、ちょっと人が多くて嫌だな。 そんな僕に気がついたのか、周さんが僕を自分の方に抱き寄せてくれた。 「 俺から離れるなよ……迷子になられちゃかなわないからな」 そう言って周さんは笑う。 子ども扱いされたみたいでちょっとムッとしちゃったけど、周さんの言う通りはぐれたら嫌なので、僕は周さんの洋服の端を握った。

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