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一旦休憩
各々別行動で乗り物を楽しむ。
僕はもちろん周さんと一緒にお化け屋敷やゲームセンターで楽しんだ。乗り物はちょっとお休み。 あと、知らない人に声をかけて周さんと一緒の写真も何枚か撮ってもらった。
凄い新鮮。嬉しいな……
しばらく遊んでから、お昼をどうするかと連絡が入ったので、待ち合わせをしてまたみんなで落ち合った。ちょうど近くのフードコートが空いていたので、そこでお昼にすることにした。
僕と周さん、陽介さんと圭さんは定食とラーメンを頼んだ。
修斗さんと康介は、何をしてきたのか 二人揃って顔色が悪く、食欲がないからと言って飲み物だけを飲んでいる。
「……大丈夫? 康介 」
本当に具合が悪そうだったので心配して康介に聞くと、赤い顔をして康介は怒り出してしまった。
話を聞くと、あれから修斗さんと一緒に絶叫コースターを三種類連続して乗り、とどめに楽しかったからと言ってティーカップにもう一度乗って、また二人で目を回していたらしい……
「修斗さんのバカ…… 」
泣きそうな顔で康介が呟いた。
僕らは康介の話を聞いて笑いが止まらない。でも康介は絶叫系の乗り物は苦手なはず。さっきも周さんと一緒に乗らないで待っていたよね? でも頑張って修斗さんに付き合ったんだと思うと健気だなって微笑ましく思った。
「康介…ゴメンね。楽しくってつい……」
修斗さんがションボリして康介を見て謝っている。
「修斗さん、康介も周さんと一緒で激しいの苦手なんですよ。次は優しいのにしてあげてくださいね」
僕がそう言うと、修斗さんは慌ててまた康介に謝った。
お昼が済んだらまたみんなとは別行動。フリーパスだし、今日は閉園までがっつり遊ぶ予定だ。何かあったらまた連絡しよう……という事でまたみんなと別れた。
「僕らはどうしましょうか?」
コーヒーが飲みたいと言う周さんに付き合い、二人でお茶をする事にした。
「僕、もう楽しくてしょうがないです。みんなと来られてよかった!」
オレンジジュースをストローで吸いながら、僕はご機嫌で周さんとお喋り。周さんはさっきからにこにこしながら黙って僕の話を聞いてくれてる。
なんだか楽しくて興奮してしまい、一人でベラベラとお喋りしてしまってることに気が付いて、僕は慌てて謝った。
「……なに謝ってんだよ。竜太が楽しそうにしてるのすげえ嬉しいよ? 可愛いな、お前……」
そう言いながら、周さんは僕の頭を笑顔でぽんぽんしてくれる。
子ども扱いが嬉しいやら恥ずかしいやら……
「あ、そうだ竜太知ってた? 宿泊するホテル、宿泊者のサービスで遊園地出ても再入場出来るんだよ。だからホテルの部屋で休憩出来んの。 俺、ちょっと疲れたから少し部屋で休みたいんだけどいい?」
へぇ、そうなんだ…… 知らなかった。でも再入場できるなら部屋で一休みしてもいいよね。
「いいですね。僕も少し休憩したいな」
こうして僕は周さんと休憩するためにホテルへ向かった。
周さんがチェックインを済ませてる間、ロビーのソファで座って待つ。団体客と重なったせいか時間がかかってるみたいでなかなか戻ってこない。ぼんやりと遠くから周さんの後ろ姿を眺めていると、誰かに肩を叩かれた。
顔を上げると、そこには知らない男の人。
……誰?
「君、お友達と一緒? 背の高い……あ、今チェックインしてる彼が連れだよね?」
なんだか立派なカメラを首からぶら下げたモデルみたいにすらっとした人と、少し色のついたサングラスの派手な感じの男の人が僕に向かってそう話しかけた。
「……はい、そうですけど」
初対面なのに馴れ馴れしい雰囲気の人はちょっと苦手だ。周さんまだかな…… 嫌だな。どうしよう……
その男の人ニ人組は僕を挟むようにソファに座り、ホテルに入ってくる時から見ていたんだと言ってくる。
「僕らはね、今時の男の子の日常のドキュメント映像を自主製作してるんだよ。見映えのするかっこいい子を探してたんだ」
そう言いながら、ビデオカメラも取り出して僕の方へ向けた。
「えっ? ……困ります」
撮られているのかと思って慌てて僕がカメラの方へ手を出すと、その人に手首を掴まれてしまった。そしてそのまま立ち上がる。
「連れの子は僕が後から連れてくるから、先に部屋に行ってて……あ、大丈夫。少し別室でインタビューさせてもらうだけだから、協力してね」
あ……ちょっと、待って……
強引に肩を抱かれ、そのまま僕は歩き出してしまった。
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