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疼く体

「だめっ! やっ! ……やらっ……あ…… 」 必死にその指から逃れようと体を動かすも、どういうわけか体中が敏感になってしまっていて、何かに体が触れようものならビクビクと反応してしまいどうやっても力が出ない。 「そんなにいやらしく動かないでよ。楽しみだなぁ、周君が来るの……竜太君のその乱れた姿を見ても、周君は僕には手出しが出来ないんだよ? 指を咥えて見てるだけなんてね。可哀想だけど、君を嬲った後は周君にも……」 僕を弄っていたその人が急に話をやめて入り口に目を向けた。僕もそちらを見てみると、ロビーで見たサングラスの男の人と、見た事もない鬼の形相の周さんが立っていた。 「周君! 僕に手を出したらこれを竜太君に打つか……」 嬉々としてさっき僕に見せつけた注射器を周さんの方に掲げたけど、言い終わる前にその人は僕の上から真横に吹っ飛んでいった。 「はぁ? 何か言ったか? 聞こえねえなあ」 僕の目の前に立つ周さんの静かな声。 僕には何が起こったのかさっぱりわからなかった。 え……何? 周さんのいた部屋の入り口を見てみると、サングラスのお兄さんが廊下にひっくり返っている。 サングラスも木っ端微塵。 注射器を持ったお兄さんも向こうで伸びて気絶していた。 何が起こったのかはわからないけど、周さんが来てくれた。 助けてくれた。よかった…… 「周さん!」 僕は目の前の周さんに縋り付く。そうしないと動けなかったから…… でも、周さんの顔が怖い…… 真っ赤な顔をして僕と目を合わせてくれない。きっとこんな事になって怒っているんだ。僕は周さんの悲しむことばかりしてしまう…… 「周さん! ごめんなさいっ! ごめんね! 僕……僕…… 」 慌てて服の乱れを直し、力の入らない体で周さんに縋り付いた。 「あっ……んっ…… 」 周さんの体に触れただけで、自分の意に反して甘い声が出てしまう。周さんの腕がちょっと触れただけなのに、堪らなく気持ちが良くなってしまった。 「周さん……ごめんなさいっ……僕、変なんだ……体中熱くて……んんっ……あ 」 こんな時に恥ずかしすぎる。なんでだよ…… そんな僕に周さんは乱暴にキスをして「泣かなくていいから……」と言いそのまま僕を担ぎ上げた。 そしてソファの前にセットされたビデオも手に取り、部屋を出た。 周さんの肩に担がれた僕は、こんな状況でこんな心境にも関わらず、快感に堪えるのが精一杯。僕の腰を力強く押さえている周さんの手や、歩くたびに周さんの体にあたる勃起してしまった僕のそこにどうしても意識が向いてしまう。 「………… 」 僕らの宿泊する部屋に着くと周さんは乱暴に僕をベッドに投げ下ろした。上から周さんにのしかかられ、それだけで僕はイってしまいそうな快感に襲われる。 どうしちゃったんだよ、僕の体…… 「周さんっ! 僕……僕… 」 力の入らない腕を周さんの首に巻きつけ、謝ろうと口を開くも周さんの唇に塞がれてしまう。 涙が止まらない── 周さんの舌が僕の中で暴れまわる。周さんの目の前で僕は見知らぬ男の人に体を弄られ、嬌声を上げてしまっていたんだ……怒るのは当たり前だ。嫌われてしまったかもしれないのに、それなのに僕は周さんにキスをされて震える程喜んでしまっている。 「んふっ……んんっ…んっ……んん……っはぁ 」 唇が離れ、謝ろうとしたら周さんが僕の口を手で塞いだ。 「もう謝るな! わかってる。竜太は悪くない…… ごめんな、俺が一人にさせたから……ごめん、怖かったろ? もう泣かないで……俺、ここにいるから。助けに行くの遅くなってごめん……もう大丈夫だから……だから泣かないで。大丈夫だから……」 そう言って周さんは僕の頬の涙をキスで拭ってくれた。 ……周さんも泣いている。 「周さん、ごめんね。助けてくれてありがとう…… 周さんももう泣かないで……」 僕は周さんの頬に手を添え、優しくキスをした。 「……竜太、体……大丈夫か?」 興奮状態からはだいぶ落ち着いたものの、僕の体の熱はまだ残っていてやっぱりいつもより敏感に感じてしまう。 周さんに耳元で囁かれるだけで堪らなく声を上げそうになってしまうんだ…… 「周さん、僕……おかしいです。体が熱くて……敏感に……お願い……僕を抱いて下さい」 こんな時に、こんなことを言いたくなかった。でもどうしようもなく疼いてしまうこれは鎮まりそうになかったから…… 周さんは黙って僕の服を脱がしていき、何度も何度もキスをしてくれた。

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