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お部屋で夕食
ホテルでは夕飯は付かないので、僕らはまた外に出て手頃なお店を探す。
でも結局、あまりお金を使いたくないという意見でまとまり、コンビニで食べたい物などを買うことにした。僕らはお弁当やら飲み物を買い込み、ホテルの部屋に戻った。
ホテル側の手違いのお陰で広々と豪華になった僕らの部屋に修斗さんと康介も入る。
「なにこれ! 全然違くね? ベッドもなんかデカイし」
そう言いながら、ポーンとベッドに飛び乗る修斗さん。康介はさっきからなんだか落ち着かない様子でソワソワしていた。
「修斗さんも、ほらこっち来てお弁当食べましょう」
周さんも修斗さんも、酒のツマミみたいなのしか買ってない。あんまりお腹すいてないのかな?
「……それしか食べないんですか?」
僕が聞くと、今日は飲むからこれだけでいいと二人でそう言って笑った。
康介なんか、ハンバーグのお弁当と焼きそばを黙々とがっついている。
四人でお喋りをしながらご飯を食べる。康介は緊張からか口数が少ない。修斗さんは食べたり飲んだり、今日あったことを面白おかしくお喋りしながら携帯をスイスイと弄っている。そんな姿に、いつ見ても器用だなって感心する。
何してるんだろう? と不思議に思ってると、周さんと僕、康介の携帯が同時に鳴った。
「今日の写真、みんなに送っておいたからね 」
そう言って修斗さんは笑った。
見るといつの間に撮ったんだろう……って写真もたくさんあった。
自分の携帯の画面の写真を眺めていると、おもむろに修斗さんが覗き込み「俺この写真、凄くいいなって思うの 」と言って指を指す。それは僕が周さんのポケットに手を入れて周さんに寄り添ってベンチに座ってる写真だった。
……恥ずかしいな。
でも、周さんが凄く穏やかな顔で僕を見つめてくれてるこの写真、修斗さんの言う通り良く撮れていていい写真だった。
「修斗さんありがとうございます」
僕はそう言って、他の写真も眺めていると不思議な写真を見つけてしまった。
周さんも「誰だよこれ!」って言って笑ってる。
そこに写っていたのは、康介と見知らぬ男の子。康介が男の子を肩車していた。
「康介ってさぁ、ほんと優しくていい奴だよね」
修斗さんが康介の隣に座り、にっこりと見つめた。
「この子迷子でね、すぐに気がついた康介が駆け寄って、泣きやますのに肩車してずっと親を探してあげたの。歩きながらさ、好きなヒーローとかの話で盛り上がっちゃって…… 探しながら迷子センターに向かってたんだけど、途中で親と会えたんだよ。でも、その子今度は康介と離れるの嫌がって泣いちゃってさぁ、可愛かったな」
修斗さんが康介を見るも、康介は緊張してるのかさっきから黙ったまま。そんな康介に気づいた修斗さんが康介の頬を抓った。
「……? 痛いって!」
慌てて顔を離す康介。
「康介ぼんやりしすぎ、俺の話ちゃんと聞いてる?」
修斗さんに言われた康介は赤い顔をしてプイッとそっぽを向いた。
周さんと修斗さんが二人で盛り上がってる中、康介が小声で僕に言う。
「ダメだ俺…… 緊張で酒にも酔えねぇ……」
ほんと、康介がっちがち。
「何をそんなに緊張してるの?」
こないだだって、圭さんの家に修斗さんも一緒にお泊まりしたばかりだし。確か一緒のベッドで抱きついて寝てたよね?
「……だって、修斗さんと一緒にいるだけで緊張すんのに、二人っきりで同じ部屋に泊まるって……ありえねえよ」
小声中の小声で康介が僕に言う。はっきり言ってよく聞こえない。
でも 僕はそんな康介の背中を叩いて、元気付けた。
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