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僕だって…

「竜太、俺から離れないでくれな?……絶対。俺、竜太がいないとダメだ。俺以外の所には行かないでくれ…」 切ない顔で僕を見る周さんは今にも泣きそうだった── なにを今更? そう思ったけどすぐに昼間のことを思い出した。 そりゃそうだよね…… あんなのを見せられたら不安になるのは当たり前だ。 僕が薬のせいとはいえ、他の人に感じてしまってたのを見てしまったのだから。 突然のキスマークや痛いくらいに僕に噛み付いてきた周さん。きっと怒りや不安がそうさせてしまったんだとわかって辛くなった。 でも、信じてほしい。 僕は周さん以外なんてありえない…… 心配させてごめんなさい。 大丈夫だからね、周さん。 僕は周さんの泣きそうな顔を見ないように、ギュッと抱きしめて優しくキスをした。 「俺は竜太にメロメロだよ……」 周さんたらメロメロだなんて……可愛いな。 僕だってそんな周さんにメロメロだよ。 「僕もです」 そう言って僕は笑った。 周さんはメロメロ発言をしてからも僕の体を弄り続け、僕は身も心も……とくに体がメロメロでもう蕩ける寸前。 今夜は、腰が痛いからダメだって言ってたのに…… でもしょうがないか。 僕ももうこんなになっちゃってるし。 でも明日、起きたら自分で歩けるかな…… 周さんに愛撫されながら、頭の中でふとそんな事が浮かんだ。 「……竜太、上の空。そうだよな……体しんどいよな」 そう言って周さんの体が僕から離れてしまった。 あ……嫌だ。 もう熱を帯びてしまった僕の体はやっぱり周さんを求めてしまった。咄嗟に周さんにしがみ付き、僕は強請った。 「やだ……周さん、して…… 僕は大丈夫だから…… 」 自然と口から溢れた言葉。恥ずかしさも勿論あったけど、それ以上に今僕は周さんに抱かれたいって思ってしまったんだ。 案の定、周さんは困った顔をしてしまった。 「体、しんどいだろ? 今日はやめ………あ! ……そかっ」 言いながら周さんは何かを思いついたみたいに顔を明るくして、服を脱ぎ始め「とりあえず、シャワー行こうか 」と言う周さんに言われるがまま、シャワーを浴びに行った。 シャワーを終えて備付のバスローブを身に纏いベッドに座る。 周さんが「バスローブって唆る……」と言いながら僕を後ろから抱きしめて胸元から手を滑り込ませた。 「あっ……あ……ん…」 僕のうなじに周さんがキスをしながら乳首を軽く抓る。 ゾクゾクと快感がこみ上げてきて、背後を振り返り周さんに唇を寄せた。 長く長く深いキスに、中心部に熱が集まり堪らなくなる。こんなになってしまってはもう止められない。好きなんだもん…… しょうがないじゃん。 「……ん……んぁっ……あん 」 周さんの手が勃起した僕自身に触れ、いつのまにか脱がされていたバスローブは床に脱ぎ捨ててある。お互い裸で触れ合う素肌が堪らなく心地良い。 さっきから僕ばかり周さんに気持ちよくさせられている。そう思った僕は周さんの方へ向き直り、その逞しい胸元に手を添えた。 僕よりもグッと逞しい体…… 綺麗に筋肉がつき、割れた腹筋が僕は大好き。周さんの引き締まった体にそっと口付ける。チュッ、チュッ……とリップ音をさせながらキスをしていると、その度にビクッと体を捩る周さんに気がついて嬉しくなった。 「……んっ」 周さんから甘い吐息が漏れる。 「周さん、気持ちい?」 そう問いかけながらも僕はキスで周さんの唇を塞いだ。 「……ん、んはっ……竜太…」 唇が離れ、周さんが堪らないといった顔で僕を見つめる。中心部で反り勃つ周さん自身にそっと触れると周さんは僕の頭を撫でてくれた。 緩々と扱きながら、その先端部にチュッと口付ける。優しくそこを口に含むと、頭上から周さんの切ない吐息を感じて益々気分が高揚した。 ゆっくりと喉奥まで舌を絡めながら咥え込み、また先端部まで戻る。 何度も味わうように舌を絡ませ、誘うように周さんの顔を見た。 「僕のことは気にしないで……周さんの好きにしてください」 周さんが僕で気持ちよくなってくれるのが嬉しいから……あんなことがあって嫌な思いをさせてしまった罪悪感から、僕は自分の体の痛みなんてどうでもいいと思ってそう言った。

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