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周の憂鬱

「周? 大丈夫? 朝からそんなんでまわりが怯えきってますけど……」 楽しかった遊園地デートも終わってしまい、またすぐに現実に引き戻される。 朝からイライラしっぱなしな俺は修斗から何度もそう言われて、更にイラつき机に突っ伏した。 「ねえねえ、周? 顔怖えよ?」 「……うるせえなほっとけよ。これから寝るから!」 俺は煩い修斗に顔もあげずにそう言った。 「だからさ、寝るなら保健室行きなよ。とばっちり食うの嫌なんだってば! お前に直接言わないでみんなで俺に言ってくんだよ? 俺、迷惑!」 俺が寝ようとすると誰かの足音がうるさかったり、俺の席の後ろでギャーギャー騒ぐし、邪魔くせえから少し黙らせようとしただけじゃねえかよ…… 「どうせ授業中でもずっと寝てんだろ? 保健室か屋上にでもいって気持ち鎮めてきたら?」 そう言いながら、修斗は俺の頭をワシワシと撫ぜた。 修斗はさっきから俺がイラついてる理由は聞かずに、どうにか気が紛れるように話しかけてくれてるんだと思う。 ……いや。それでもかなりウザいんだけどな。 「もうじき次の授業も始まるしさ、先生もなんかお前のことチラチラ気にしてるし、怯えてる先生も気の毒で見てらんないよ俺」 わかってるよ。 「……悪かったな。うん、わかった。保健室行ってくるわ。そこでしばらく寝てる」 自分でも感じ悪いのはわかってるんだ。だから俺は修斗に言われた通り少し頭を冷やすことにした。 次の授業が終わったら昼休みか……今日は竜太と過ごせるかな。 保健室に行くと、目に飛び込んできたのは「外出中」の札。 ……は? なんだよ外出中って! 今休み時間だよな? 具合悪い生徒がきたらどうすんだよ。高坂の事だからまたふらふらと遊びに出かけてんだろ? 俺は余計にイライラが倍増して、しょうがないから屋上へ向かった。 誰もいない屋上。 ベンチに横になり、空を見上げた。 「……さぶっ! 」 今日は特別冷え込むって天気予報でも言ってたっけか。 このままいたら風邪引くのは確実だった。 俺は両腕をこすり合わせながら、そそくさと屋上を後にした。 さっきチャイムが聞こえたから、きっと授業は始まってんだよな。 面倒くせえな。 そう思って保健室を通り過ぎようとしたら、外出中の札が外れてるのに気がついた。

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