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悩み相談
昼休み──
教室で俺と修斗…… と、なぜか康介も一緒に飯を食ってる。
「なんで康介だけなんだよ。竜太は? 俺、誘ったよな? 竜太来ねえならお前は来んなよ」
今日は屋上は寒かったから、二年の教室でみんなで飯を食おうって竜太にさっき連絡したんだ。
で、今ここにいるのは康介だけ…… 竜太からはお察しの通り返信は無い。
胸の奥がギュッとする。凄く嫌な感じだ。 竜太のオマケ的な康介だけ来たって何も面白くもない。目障りなだけだ。
「ちょっと! 周さん酷くね? 俺がいたっていいでしょ!」
康介が膨れっ面してなんか言ってる。修斗も康介のことは自分が呼んだんだからいいんだと言って、二人して楽しそうにやってるから余計に面白くない。
「あ……そういえば竜、今日は志音と学食行くって言ってましたよ?」
そう康介が言うのを聞いて、俺はますますイライラが募った。
「………… 」
「周く〜ん? 元気ないよ。大丈夫?」
修斗が楽しそうに俺の頬をツンツンしてくる。コイツは俺が竜太のことでイラついてるのを面白がってんだ。いっつもそうだ……ムカつく。
「うるせえ、元気ないんじゃねえよ! イラついてんの!」
修斗の手を振り払って俺は机に突っ伏した。
一気に食欲もなくなった。マジでなんなんだよ! 志音と学食? 聞いてねえよ…… 今まで学食なんて行ってたか? ほぼ毎日俺と一緒だったろうが! それならそうと俺にひと言あったっていいんじゃねえの? 竜太ってそんな奴だったっけ?
「周さん? ……竜と喧嘩でもしたんですか?」
少し離れたところから康介の声が聞こえる。
「……してない……と思う」
ちょっとした喧嘩はしたけど、それが拗れてるとは思えない。
「と思う……って。喧嘩したの? どうして喧嘩なんてしたんですか?」
康介がしつこく聞いてくるから、渋々顔を上げ喧嘩の経緯を話してみた。
「学校終わってから会おうって話をしてたんだよ。俺、バイト入ってなかったからな。そしたら竜太の奴、都合が悪いからなんて言って断ってきてさ…… 今までは都合が悪いならちゃんと俺に理由を言ってたし、竜太は大して友達もいないしバイトもしてないからさ、そんなぶっきら棒に都合が悪いなんて言われたら流石にちょっとムッとすんだろ? で、なんだよ、竜太は暇なんだから俺に合わせろよ、って言ったらいきなり竜太がキレたんだよ。なんで僕ばっかり! 僕にだって色々と用事だってあります! ってさ、めっちゃ怒んの……」
そこまで話すと、康介も修斗もぽかんとした顔をして二人揃って溜息を吐いた。
「周…… そりゃ竜太君も怒るわ」
「びっくり、超我が儘かよ……」
康介まで俺のことを呆れた顔して見てきやがる。
「はなっから俺に合わせろって空気がダメでしょ…… でも竜太君も言い返すのは珍しいよね? …… 日頃の我慢が積もり積もって? って感じなのかな?」
修斗の言葉にヒヤッとした。
積もり積もってって…… 俺、そんなに竜太にストレスを与えるようなことをしていたんだろうか。
「メールしても返信遅いし、素っ気ないし….… 最近竜太と会えてないのに…… 竜太は俺と会わなくて寂しくねえのかな……」
イライラは鎮まったけど、代わりに不安が湧き上がってくる。
「周さん、竜って何かに夢中になるとそれしか見えなくなるところがあるんですよ。他のことには上の空……みたいな。そういうの何か心当たりありません?」
康介がそう言ってくれるけど、全く心当たりなんかないし。
「……心当たり、ない」
なんか俺、しんどい。もう帰りたくなってきた……
「でも周さんの言う通り、確かに竜って俺ら以外で遊ぶような友達なんていないし…… おかしいですよね……」
そう言って康介は真剣な顔をして考え込んだ。
康介の真面目な顔、おもしれ……
「? ……なんすか? 人の事にやにやして見ないでください。俺、真剣に考えてんのに!」
……康介に怒られた。
康介が真剣な顔で考えてる横で、修斗はもう飽きてきたのか携帯を弄りはじめた。
「もう気にすんなよ。そのうち元に戻るんじゃね?」
興味のなさそうな修斗にそう言われても、そのうちっていつだよ! としか考えられず、ずっとこんな寂しい思いしなきゃいけないのかと思ったら悲しくなった。
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