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康介の見解
昼休み、修斗さんのいる二年の教室で飯を食う事になった。
竜は今日は志音と学食に行くんだって……
珍しいな。
また周さんの機嫌悪くなるじゃんか。いっつも俺にあたるんだよな、あの人…… でも修斗さんに会えるから周さんなんてどうだっていいんだ。
俺は愛しい修斗さんに会えるのが嬉しくて、かなり浮かれて教室に急いだ。
案の定、周さんの機嫌は最悪──
竜がこないなら俺は来んなって滅茶苦茶言い出す始末……
でも、周さんの不機嫌の理由、別のところにあった。
最近竜の様子が変なんだって。
おかしいな……
いつもとあんま変わらないんだけどな?
話を聞いてるうちに、俺は竜は反抗期なんじゃないかって考えた。修斗さんにはめっちゃ笑われたけど……いや、これ本気だから。
俺は反抗期だって思う理由をきちんと周さんに説明した。そして周さんも俺の意見に納得しかけたところに、修斗さんが余計なことを言いだした。
修斗さんは、竜が浮気してるんじゃないかって事を少し遠回しに周さんに言った。修斗さんの言った意味がわからないのか、周さんはポカンとしている。でも楽しそうに修斗さんが話を進めるもんだから、俺は慌ててフォローを入れた。ちょっと遅れて理解したのか、いきなり周さんが怒り出し、修斗さんに掴みかかった。理解すんの遅すぎだし、瞬間湯沸かし器かよ! びっくりだよ。
今にも殴りかかりそうな周さんの前に俺は慌てて体を寄せる。とりあえず、修斗さんに乱暴に掴みかかってるのが許せなくて代わりに俺が周さんを殴ってやろうかとさえ思ってしまった。
慌てて止めに入ったけど、すぐに聞こえた修斗さんの明るい声に拍子抜けする。
……なんだよ冗談って。冗談でもあんな事は言わないで頂きたい。
この人ってば、ほんと何考えてんだかわかんねぇ。なんでわざわざ周さん怒らすような事を言ってんのさ?
ヒヤヒヤするじゃん…… 心臓に悪いよ。
でも修斗さん、怪我しなくてよかった。それに心なしか周さんの顔色も良くなって元気が出たみたい……
あれ? もしかしてわざと怒らせて元気付けたとか?
前に兄貴と竜が体育祭の後デートする事になった時、周さん初めはめっちゃイラつきながら尾行してたけど、そのうちしょげてきちゃって元気なくなってたんだよな。
今日もなんだかそんな感じだった。
初めはイライラしてたのに、いつの間にかションボリしてた。修斗さん、それをわかっててわざと周さん焚きつけたんじゃ……
そうなら凄いな。周さんの扱い熟知してる。
俺がそんな事を考えながら修斗さんに見惚れていると、それに気づいた修斗さんがお得意の小首を傾げるポーズで俺を見るから猛烈に照れてしまった。
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