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秘密のお話

少し元気を取り戻した周さんは「もう帰る」と言ってぶすくれたまま教室から出て行った。 いやまだ授業あんだろ…… サボりすぎじゃない? 「周さん、帰っちゃって大丈夫なんすか?」 修斗さんに聞いたけど、大丈夫じゃね? と軽く返された。 「……?」 修斗さんがずっと俺の顔見てニヤニヤしている。 「なんすか?」 わかる、これ…… 修斗さんのこの顔、何か企んでる時かもうすでに何かやらかしてる時の顔だ。 嫌な予感! と思った途端、修斗さんは楽しそうに笑い出した。 「さすが康介! ……反抗期とはさすがの俺でも思いつかないよ。竜太君の幼馴染、伊達じゃないね! 感心しちゃう 」 俺がキョトンとしていると、修斗さんは首を振った。 「でもね、残念! 竜太君は反抗期なんかじゃないよ? もちろん浮気でもなんでもないし」 クスクス笑いながら修斗さんは俺にそう言った。 ………? あ! 「もしかして修斗さん、竜の事何か知ってるんですか??」 悪戯っ子な顔をした修斗さんを見てピンときた。この人絶対何か知ってる。 「わかる? そだよ、俺知ってる!」 もう楽しくってしょうがないって顔して修斗さんが俺を見た。知ってんなら俺にも教えろよ! とムッとしたけど、その顔がもう可愛くって俺は怒るに怒れなかった。 「修斗さん? 何を知ってるんですか?」 俺は真面目な顔をして修斗さんに聞いた。なんだよ、修斗さんが知っていて、幼馴染の俺は知らないなんてさ……竜のやつ、酷くね? 「竜太君ね、放課後圭さんの家に通ってんだよ」 意外な言葉に驚く俺を気にせず、修斗さんは話を続ける。 「圭さんのお料理教室。竜太君、圭さんに料理習ってんの。年明けたら周の誕生日だから、自分で料理を作ってご馳走したいんだって。あとプレゼントとか買うために短期でバイトも始めるみたいだよ」 驚いた…… てことは、今竜は料理に夢中になってるってことか。それにしても、バイトって…… 「竜がバイト?」 人見知りで鈍臭い竜が正直仕事なんて出来るのか心配だった。 「バイトの事なら陽介さんの方が詳しいんじゃないかな? 兄さんに聞いてみなよ」 どうやら竜は兄貴のバイト先に世話になる予定らしい。何だよ、兄貴だって俺には何も言ってこなかったな…… 修斗さんに竜の異変の理由を聞いたけど、やっぱりちょっと納得がいかなかった。 「なんで修斗さん? 俺にはひと言もそんな事言ってないのに……」 なんでも竜の相談事は俺が聞いていたのに、俺ばっかり何も聞かされてなかったのが少しショックだった。 「いやいや、俺もたまたま圭さんのマンションに入ってこうとしてる竜太君を見かけて声かけたんだよ。問い詰めたら恥ずかしいから内緒にしてくれって言われて、しばらく周と遊べないから俺に周を構っててくれってさ……デジャブだよ。ほんと笑っちゃう」 恥ずかしいって…… 「竜、可愛いっすね」 そう言うと修斗さんはムッとした顔で俺を見た。 「……可愛い?」 「……あ、俺が好きなのは修斗さんですよ」 こんなちょっとしたことでやきもち妬いてくれるのが凄く嬉しくて何だかウズウズしてしまった。 それにしても周さん、自分が竜にした仕打ちをまんま食らってんだな。 竜の、周さん放ったらかしプレイ…… 面白い。
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